ゾウの「ハッピー」は人ではない、愛護団体の訴え退ける NY州最高裁 | トピックス

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2022年6月16日 時事通信ニュース






【ニューヨークAFP=時事】ゾウの「ハッピー」は高い知性を持っているものの、「人」の定義は満たしておらず、動物園で違法に拘束されているわけではない──。注目を集めていた動物の権利をめぐる訴訟で、米ニューヨーク州の最高裁は14日、こうした判断を下した。≪写真はフランス中西部の保護区のゾウ。資料写真≫


 ハッピーは雌のアジアゾウで1971年に自然界で生まれ、過去45年間はニューヨーク市内にあるブロンクス動物園で暮らしてきた。


 動物愛護団体「人間以外の動物の権利プロジェクト」が提訴したもので、裁判所に対してハッピーに人身保護令状を出すよう求めたが、最高裁判事は5対2で訴えを退けた。このため、ハッピーは約4000平方メートルの敷地内にとどまることになった。


 原告側は、ハッピーは「並外れて複雑な認知機能を持ち、自律性のある人間以外の動物」であり「慣習法で保護される身体の自由がある法律上の人格」と認められるべきだと主張していた。


 ジャネット・ディフィオレ首席判事がまとめた、人身保護法の適用を認めない判決では「ゾウが適切な世話と思いやりを受けるべき知能の高い動物であることは誰も否定しない」とした上で、「人身保護令状は人間が違法な拘束下に置かれることがないよう、自由の権利を守るためのものであり、違法な拘束を受けている人間ではない動物のハッピーには適用されない」と指摘した。


 同団体はこれまでにも米各地で、他のゾウやチンパンジーのために同様の訴えを起こし、敗訴していた。


 判決を受け、原告側は人格を認める判断を出した判事2人を称賛し、彼らの意見とこの訴訟が州最高裁で審理された事実自体が未来への希望になったと表明した。


 判事の一人は「多数派が『動物には権利がない』と答えるとき、私は動物をふびんに思うとともに、それ以上に、その答えが人間の理解力、共感力、思いやりの心を否定し、過小評価しているということを悲しく思う」との考えを示した。

【翻訳編集AFPBBNews】