2021年9月27日 熊本日日新聞
熊本県が宇城市で計画している新たな動物愛護センターについて、市は市所有の建設予定地を無償で県に譲渡する方針を固めた。予定地は40年前に一部事務組合が国の補助を受けて取得しており、現在は遊休地。無償譲渡すれば補助金の返還は不要となり、災害時はペット同伴避難所としても活用が見込めるなど、市は地元にメリットがあると判断した。
センターの建設予定地は、松橋町の松橋不知火浄水管理センター北側の約1万1200平方メートル。当時の松橋不知火下水道組合が1981年に国から6割補助を受けて、約7千万円で民有地を購入した。人口増加を見込んで生ごみを堆肥化するコンポスト施設の建設を予定していたが、未着手だった。
市や県によると、新センターには犬猫の保護施設のほか、多目的広場やドッグランなどを整備。災害時には車中泊用の駐車場としても利用できる。広場では犬猫の譲渡会が開催されるという。
市は「遊休財産の有効活用が目的で、総合的に判断して県への無償譲渡を決めた。命の大切さを学ぶ場所にもなり、宇城市にとって利益になる」としている。今後は都市計画審議会を経て予定地の財産処分を行い、年内にも県と譲渡契約を締結。県は2024年3月の開所を目指す。
県は熊本市東区の県動物愛護センターの老朽化や収容能力不足に伴い、新たなセンター整備に着手。昨年9月、宇城市での建設方針を明らかにしていた。(飛松佐和子)