生涯の半分9年間をペットと暮らせる特別養護老人ホームで過ごした猫…チョロ君の旅立ちに思う | トピックス

トピックス

身近で起こっている動物に関する事件や情報の発信blogです。

2021年6月7日 yomiDr.

ペットと暮らせる特養から 若山三千彦







 私が経営する、ペットと一緒に暮らせる特別養護老人ホーム「さくらの里山科」で9年間暮らした猫のチョロ君が、先月、虹の橋へと旅立ちました。18歳。猫としてはかなりの長寿ですから、大往生と言えると思います。


 チョロ君は、さくらの里山科を設立した2012年の春に、飼い主である老夫婦と同伴入居しました。ホームでも、お二人にかわいがられ、幸せに暮らしていました。しかし、ご主人は1年後に、奥様は2年後に、相次いで亡くなってしまいます。さぞ寂しかったでしょうが、その時点で、もうホームがすみ慣れたわが家になっていました。同じユニットで暮らす入居者や職員たちもチョロ君にとって家族でした。だから、すみ慣れたわが家で、家族と一緒にそのまま暮らし続けることができ、とても落ち着いていました。

 チョロ君は、ユニットに最初に入居した猫であり、うちのホームで入居者と同伴入居した最初の猫でした。その後、同じユニットに、猫の祐介君が飼い主と同伴入居してきます。また、保護猫(保健所から引き取られた猫)のタイガとカッチャンもやってきました。チョロ君は、次々と増えていく猫の家族たちを優しく迎え、仲良く暮らしていました。チョロ君、タイガ、カッチャンの3匹が団子のように丸くなってくっついている姿は、ユニットの名物でした。

 人懐こい性格は、入居者にも愛されていました。入居者が抱きしめて話しかける光景はよく見られました。ソファに座る入居者の隣にぴったりくっついて眠っていることも多かったです。飼い主さんがいなくなっても、大勢の入居者にかわいがられ、幸せだったと思います。そして、幸せに過ごす姿や雰囲気が、大勢の入居者を癒していました。

 ホームに入居した当初の体重は10キロオーバーでした。ちょっと、いえ、かなり太っていたのです。高齢の方が飼っている犬や猫は太りすぎてしまうことが多いんですよね。ホームに入ってからは、職員が食事コントロールをして、8キロ以下まで減量することに成功しました。それが長生きした理由の一つだったのかもしれません。まあ、それでも大変大きな猫だったのですが。