岐阜県警生活環境課と養老署は24日、劣悪な環境で犬を飼育したとして、動物愛護法違反の疑いで、養老郡養老町若宮、職業不詳の容疑者の男(68)を現行犯逮捕した。容疑者の自宅からは約60匹の犬が保護された。
逮捕容疑は、木造2階建て延べ335平方メートルの自宅で、犬の排せつ物や死体が放置された不衛生な環境下で多数の犬を飼った疑い。
署や県によると、昨年4月から犬が放し飼いになっているなどと通報があった。西濃保健所などが適正な飼育を指導していたが改善されず、立ち入りも拒否されていたという。署は認否を明らかにしていない。
県警は24日、自宅を家宅捜索し、犬を次々と運び出した。犬は雑種とみられる。周辺は樹木が生い茂り、風向きによって異臭が漂っていた。近所の女性は「たくさんの犬の遠吠えが聞こえ、悲鳴のような鳴き声も聞いた」、別の女性は「散歩をする姿は見たことがない」と話した。
動物愛護団体のNPO法人「ハッピードッグチーム」(関市)の田口尚也代表理事(45)は「1人で60匹を飼うことは無理」と指摘し、「近親交配になりやすい上、飼い主が適切な医療を受けさせることができず、餌を全ての犬にまんべんなく与えることも難しくなるため寿命が短い犬が出てくる。命の軽視につながる」と強調した。
県は25日開会の県議会定例会に、一般家庭などで犬や猫を計10匹以上飼う場合は届け出を義務付ける条例案を上程する。