何かの事情で突然、家族であるペットと離れ離れになってしまうようなことがあったら、それは心を締め付けられるほどつらい出来事だ。そんな中、預けられた動物の幸せを一番に考えたシェルターでの出来事が、SNSで話題になっている。
シェルターに預けられていた耳の不自由な子犬
2020年9月上旬、米国フロリダ州にあるシェルター『サンタ・ローザ・カントリー・アニマル・サービス』に耳の不自由な子犬、グロックがやってきた。
グロックを保護してから2週間ほどたった頃、1人の女性がすすり泣きながら、獣医記録を持ってやってきた。「私の犬を返してくれませんか?ただ、私にはあの子を引き取るお金がないんです」と。
同シェルターのマネジャーであるジェシカ・ジェイドさんは、その女性にどの子があなたの犬なのかと聞くと、彼女は「彼を引き取るためのお金がないんです」と泣き続けて懇願したという。
本来、同シェルターから犬を引き取る際には、引取手数料が掛かる。しかし、ジェシカさんは「わかりました。あなたは犬を引き取れますよ」と伝え、書類を書き、グロックを無償で彼女にグロックを返すことにした。
グロックは彼女を見ると、嬉しそうに飛び跳ね、喜びを全身で表した。そして彼女もそんなグロックを泣きながら抱きしめた。ジェシカさんは彼らの間に確かな絆を感じたとのこと。ジェシカさんはグロックを無償で引き渡しただけではなく、ドッグフートと去勢手術のための引換券もプレゼント。加えて、彼女の家には数匹の子猫がいることがわかったので、子猫たちの避妊去勢手術用の引換券までも渡した。
「なんて心温まる話」5万5000件を超えるいいね
ジェシカさんはこの一連の出来事を9月22日、自身のFacebookに投稿。すると反応は想像以上で5万5000件を超える「いいね」を獲得。「なんて心温まる話。グロックを家族と再会させてくれてありがとう!」「多くのシェルターでこうした対応を取り入れてほしい」など、多く人から共感と感動の声が寄せられた。
「グロックは保護が必要な犬ではなかったんです。すでに戻るべき温かい家庭があったんです」とジェシカさん。この投稿の中で、融通の利かない引取手数料や規約は、動物たちが帰るべき家に戻れない状況やシェルターに預けられる動物の数を不必要に増やす要因になっていると訴えている。そして、シェルターは命を救う場所であり、「ペットが愛された家族のもとに戻れるように、できる限り柔軟な姿勢を取っていきたい。今回のシェルターの対応をとても誇りに思います」と続けた。
時に、飼い主やペットの意に反してシェルターに預けられ、お金が問題で引き取れずに引き離されてしまうケースもある。今回の投稿をきっかけに、家族の元に戻れるペットが少しでも増えてほしいと願う。