2018年7月4日 中日新聞
いなべ市北勢町川原で五月にイノシシ用のわなにかかったツキノワグマの放獣場所が見つからなかった問題で、鈴木英敬知事は三日、危険な場合はクマを殺処分できるようマニュアルを改める方針を示した。同市での日沖靖市長との対談で明らかにした。
ツキノワグマは県の絶滅危惧種に指定されている。現行マニュアルでは、誤って捕まえたクマは原則、生態系保護のために同じ市町内の人家から二キロ以上離れた山に返すことになっているが、川原地区では危害を恐れる住民が反発。岐阜県に近いため適切な放獣場所も見つからず、岐阜県高山市の牧場に預かってもらうことになった。
改定するマニュアルでは、クマが人に危害を加えた場合は殺処分ができることを明記する方針。人家近くに出没するなど危害の恐れがある場合の対応は、七月中に各市町の意見を集約して決める。
対談で日沖市長は「保護したツキノワグマを放獣することは、地元の了解を得るのが難しい」と訴えた。鈴木知事は「マニュアルを、より実効性のあるものにするための見直しをしたい」と応じた。
改定マニュアルは八月から暫定版の運用を始める。同月中旬までに専門家の意見も反映させ、確定版を作成する。
(西川拓、吉川翔大)