01月04日 14:00 熊本日日新聞
熊本地震の被災者から預かった犬たちの世話をする「阿蘇くまもとシェルター」代表の山本志穂さん=西原村
熊本地震で離れ離れになった飼い主と犬たちを支えようと、西原村に一時預かり施設を開設した女性がいる。行政や県獣医師会などが立ち上げた「熊本地震ペット救護本部」パート職員の山本志穂さん(61)=熊本市。家族同然の愛犬をやむなく手放した男性を知り、「動物だけでなく飼い主も苦しんでいる。力になりたい」と決意。飼い主を待つ15匹の世話をする。
西原村のカフェ「阿蘇マロンの樹」敷地内にある「阿蘇くまもとシェルター」。飼い主が被災し、仮住まいがペット不可などの事情で一緒に暮らせなくなった犬15匹が預けられている。昨年10月末までは大分県九重町の熊本地震ペット救援センターにいたが、閉鎖後、居場所がなくなっていた犬たちだ。
山本さんは救援センターの相談窓口を担当。飼い主から、さまざまな悩みを聞いてきた。その中に、センター閉鎖を前に、愛犬の引き取り場所が見つからない男性がいた。追い詰められた様子の男性はある日、犬を連れて帰ったが、後に市動物愛護センターに持ち込み、所有権を放棄していたという。
「ショックでした。犬をとても大事にしている理想的な飼い主だったのに…。一時預かりのシェルターがあればと悔やみました」
居ても立ってもおられずに仲間と11月、シェルターを開設。代表の山本さんを含むスタッフ数人で運営に当たっている。敷地にはドッグランや温室の広場などがあり、トリマーや獣医師にも定期的に訪問してもらう。
小型犬から大型犬まで月1万2千〜1万8千円で預かり、経費に充てているが「人手も運営費も満足に確保できていない」と山本さん。今後はボランティアや寄付を募り、多くのペットを受け入れたいと話す。
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熊本市中央区黒髪にも11月末、県内の獣医師らでつくる「県災害時動物救援チーム」の一時預かり施設がオープンした。同チームの平山美幸副代表(58)が所有する店舗兼住宅を提供。チームに寄せられた支援金を基に運営しており、被災ペットを1日100円で受け入れる。「立ち寄りやすい市街地に開設できた。飼い主とペットは一緒にいる方が幸せです」と平山さん。
問い合わせは阿蘇くまもとシェルターTEL080(1708)8689。県災害時動物救援チームTEL090(9490)1290(午前11時〜午後2時)。(西國祥太)
(2018年1月4日付 熊本日日新聞朝刊掲載)