日本海ニュース Net Nihonkai 2017年2月15日
獣医師たちが運営する全国でも珍しい
動物愛護施設「人と動物の未来センター
アミティエ」(鳥取県倉吉市下福田)が、
2013年9月の開設から16年12月
までに、計180匹の犬や猫が新しい
飼い主に譲られるという実績を上げた。
今後は、施設内にしつけ方教室や
講習会などが開けるような部屋を整備
することが目標という。
倉吉市下福田の「人と動物の未来センター
アミティエ」
施設を運営するのは動物臨床医学
研究所(倉吉市八屋、山根義久理事長)。
譲渡された犬や猫の病気を治し、
不妊去勢手術をし、マイクロチップを入れ、
新しい飼い主を探すまでを引き受けている。
中でも力を入れているのは新しい
飼い主探しで、飼い主になる人に対しては、
過去の飼養経験や飼育場所などを問う
ほか「終生飼養する覚悟を持っているか」
「家族全員が賛成しているか」なども
尋ねる。
この予備審査をクリアした人の中で
月1回開かれる3時間の講習会を
受けた人だけが、新しい飼い主と
認められる。
飼い主と認められるまでの基準が
厳しかったため、開設してから半年間は
新しい飼い主が現れなかったというが、
同研究所の高島一昭所長は「犬や猫の
運命は飼い主次第。いい飼い主に
譲渡したい」とその理由を語る。
新しい飼い主の元に行った犬や猫で、
飼えないからと施設に戻されることは
ほとんどないという。
新しい飼い主の中には高齢という
理由で犬猫を飼うのをためらう人も
いることから、高島所長は「今はまだ
力不足だが、将来的には、やむを得ず
終生飼養ができない人の犬や猫を
受け入れ、新たに飼い主を探すといった
動物を巡る社会の中心の施設にして
いくのが夢」と話す。
県くらしの安心推進課によると、
収容中の死亡を除く犬猫の殺処分数は、
982匹(2013年度)805匹
(14年度)619匹(15年度)。
新しい飼い主の元に引き取られる
割合はまだ低く、犬猫を取り巻く環境に
課題は多い。(加嶋祥代)