中日新聞 2016年12月29日
◆店通じて引き渡し400匹に
静岡市葵区本通で営業している猫カフェ
「くるるん」が二十九日、閉店する。
捨て猫や、やむを得ない事情で飼い主が
手放した猫たちが働き、飼い主と
出会う場になってきた。
店長の山田由美さん(63)は
「お店は閉めるけれど、これからも
飼い主を見つけるボランティアを
続けていきたい」と話す。
山田さんは二〇〇九年から、地元の
動物愛護グループ「ねこさと」の
一員として、野良猫に避妊手術や
捨て猫の里親探しなどに取り組んできた。
くるるんは一一年三月、山田さんの
空き家になっていた実家を改装して
オープンした。
店には接客する猫以外に、飼い主を
募っている猫の写真も掲示した。
猫を飼いたいという相談を受けると、
その人の生活状況などを聞いて猫が
飼える状況かを確認して引き渡した。
飼い主が亡くなった猫や野良猫から
生まれた子猫なども含め、店を通じて
飼い主が見つかった猫は四百匹に上る。
一方で、多くの猫が一部屋で暮らす
状況が猫にとって良いことなのかと
悩み続けてきた。「猫カフェである
以上はお客さんに楽しんでもらいたいと
いう気持ちと、猫の飼い主探しを
優先したいという葛藤が常にあった」
という。
自身の年齢のこともあり、
一年ほど前から閉店を考えた。
現在お店に残る猫は六匹。山田さんが
二匹を継続して飼い、それ以外の
引き取り手も決まっている。今後は
ねこさとでの活動を中心に猫の保護を
続ける予定だ。
最終日の二十九日はくるるんで
猫の譲渡を受けた人や常連向けに
無料で営業する。
(垣見窓佳)