6日、熊本市東区の県動物管理センター。午前9時になると、職員らがリードを引き、犬たちを庭先に出し始めた。犬舎の掃除をする間、犬たちは日光浴も兼ねて外で過ごす。
本来は殺処分を行う施設だが、地震後、新設したプレハブや仮設のケージなどに犬や猫約200匹が暮らす。地震後、各地の保健所に持ち込まれたケースも多いという。
センターの片岡玖美さん(22)は「新しい飼い主さんを見つけたいが、超過状態だからと言って、そう簡単に譲渡できるわけではない」と話す。責任を持って育ててもらうため、ワクチン接種や去勢手術などをしてもらうことが条件になるからだ。
県が保護している犬や猫は10月28日までに370匹(犬152匹、猫218匹)に上る。現在も、本来、県内の10保健所で収容可能な計約100匹を大幅に上回っている。
従来は、収容しきれない犬や猫は殺処分となり、昨年度は計約2400匹が対象となった。ただ、県は熊本地震の前震が起きた4月14日以降、「飼い主とはぐれた可能性もあり、引き取りに来るかもしれない」との理由で殺処分を見合わせている。
地震後、2024匹(犬861匹、猫1163匹)が新たに保護され、うち240匹は飼い主の元に戻った。また、センター主催の譲渡会を毎月開催したり、県内の動物愛護団体が全国の団体などに引き取りを呼びかけたりして、1000匹以上が新たな飼い主の元に渡った。
ただ、超過状態を解消する見通しは立っておらず、現状の数を世話するにも、ボランティアの手助けが不可欠な状況だという。このため、県は来年以降、殺処分を検討せざるを得ない状況に至っている。
センターの石原貢一所長(65)は「収容されている犬や猫も地震を乗り越え、一生懸命生きている。小さな命を守るためにも、できる限り引き取り手を探したい」と話している。問い合わせは同センター(096・380・3310)へ。
2002年から「殺処分ゼロ」を目指した取り組みを続けている熊本市では、地震後、市動物愛護センターに453匹(犬226匹、猫227匹)が保護された。センターには地震直後から、迷子になったペットに関する問い合わせが相次ぎ、170匹が飼い主の元へ戻った。定期的に譲渡会も開催しており、214匹が新たな飼い主に引き取られた。現在は107匹(犬49匹、猫58匹)が収容されているが、今のところ、殺処分の予定はないという。