年間2万頭の子犬や子猫が流通過程で死亡している。ペットショップに辿り着く前に… | トピックス

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日刊SPA! 2016.06.05 雑学

かわいらしい犬猫がTVに取り上げられ、
街には猫カフェの看板が躍る。
市場規模1兆5000億円とも謳われ、
まさに世は空前のペットブームだ。
だが、その陰では飼われるペット
たちの悲惨な実態があった……。
衝撃のリポート!

流通過程で1年間に2万頭が死に至る
ペットビジネスの闇


「そもそも一昔前のペットショップでは
売れ残った犬や猫を普通に従業員が
殺してました」と、衝撃の昔話を語るのは
実際にペットショップの勤務経験を持つ、
ペットビジネスライターの成田司氏だ。

「当時は売れないと判断された犬猫が
裏庭でこっそり処分されたり、弱った
犬猫をビニール袋に詰めて冷蔵庫で
殺すこともありました」

 さすがにここまで非人道的な行為は
今日、行われていないが、いまだに
ペットをモノとしか思わないような
業者は存在するという。

「いまだに数百頭もいるペットを
わずか2人で管理したり、何頭も子犬を
カゴに詰め込んで育てたりしている
業者の話などは耳にします。後者の
お店は最後に毛並みだけ整えて、
売りに出しているとか。ただし、
衛生管理が不徹底なため、ペットは
飼育してもすぐに死んでしまうでしょう」

そして、そもそもペットショップに
辿り着く前に年間2万頭の子犬や
子猫が流通過程で死亡していると
いう事態も明らかになった。

「日本には昔から子犬や子猫を
ありがたがる風潮があり、本来、
動物愛護法で禁止されている
生後45日前の犬猫の取引が事実上
黙認されているのです。
ブリーダー業者によっては30~35日
程度でセリに出すところもありました。
結果として、健康的な問題を抱えた
子犬や子猫が運搬時のストレスなどに
耐え切れず死亡してしまうのです。
また、幼いうちに親犬・猫と
引き離されたことで社会性が身に
つかず孤立してしまうことも」
(成田氏)


長年、殺処分などペット問題を
取材してきたノンフィクション作家の
片野ゆか氏も業界の“売らんかな主義”
を厳しく批判する。

「ペットショップ開業登録の条件には
ケージのサイズや衛生管理など施設に
関する検査があります。その一方で、
自治体主催の研修は動物取扱業責任者に
対してだけしか行われていません。
また本来、店員は客に対して、飼育に
関する対面説明の義務がありますが、
これを怠っても何のペナルティもない。
これでは命を扱う仕事にもかかわらず、
無理やりペットを売ろうと過剰な
セールストークをする店員が増えても
仕方ないでしょう」

 本来、動物を守るはずの
ペットショップで多くの犬猫たちが
危機に晒されているとは皮肉な話だ。

【成田 司氏】
ペットビジネスライター。動物福祉の
発想に基づくティアハイム設立を
目指す「Giraf Priject」を主宰。
共著に『ペット市場の現状と展望
2013-2014』がある

【片野ゆか氏】
’66年東京都生まれ。
ノンフィクション作家。
’05年『愛犬王~平岩米吉伝』で
第12回小学館ノンフィクション大賞
受賞。『北里大学獣医学部 犬部!』
(ポプラ社)など著書多数

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