アメリカには望ましくない環境で
仔犬の繁殖を行うパピー・ミルの他に、
一般人が裏庭で仔犬の繁殖を行う
バックヤード・ブリーダーがいて、
どちらとも問題として取り上げられる
ことがあります。今回ご紹介するのは、
先天性奇形の可能性が高いと知りながら、
仔犬を繁殖し続けたある
バックヤード・ブリーダーの話です。
バックヤード・ブリーダーの存在
バックヤード・ブリーダーという言葉を
聞いたことがありますか?直訳すると、
『裏庭繫殖家』のことで、いわゆる、
素人による犬の繁殖家です。
別名、ホビー・ブリーダーとも言い、
パピー・ミルと共に犬の人口が増え
続ける原因のひとつとして、
アメリカでは問題視されています。
著者が暮らすロサンゼルス郡では、
毎年シェルターで失われて行く犬猫の
命を救うべく、2013年から新条例が
施行されています。その条例では、
『営利目的で繁殖された犬・猫・
ウサギなどの店頭販売を禁止する』と
なっています。
したがって、素人が無許可で動物の
繁殖を行い、販売することは違法と
みなされ、取り締まりの対象と
なっています。バックヤード・
ブリーダーの問題点ロサンゼルス郡では、
reputabule breederと呼ばれるプロの
評判の良いブリーダーたちは、郡より
求められるすべての条件を満たした上で
繁殖を行わなければなりません。
まず、繁殖を行うには、犬1匹につき
235ドルを群に支払って許可書を発行して
もらう必要があります。また、繁殖は
1匹につき年1度と定められています。
他にも、犬の健康状態や
マイクロチップの装着、
ワクチン接種の有無などの
規定もあります。
バックヤード・ブリーダーたちは、
われわれの近所に住む住人たちで、
一見『善良市民』です。しかし、
問題は、彼らがこれらの条件を
満たした上で繁殖を行っていない
場合があるという点です。
お小遣い稼ぎという名の営利目的に
走り、特定の犬種に関する知識も
ないまま無理な繁殖を繰り返す
バックヤード・ブリーダーは珍しく
ありません。バックヤード・
ブリーダーに繁殖された仔犬には
血統書もありませんが、通常、
仔犬1匹につき100ドルから1,000ドル
ぐらいの価格で販売されています。
2本足の仔犬たち

オクラホマ州のあるバックヤード・
ブリーダーは、利益目的で犬種の
知識もないままに繁殖を行っていた
例です。
保護団体の職員ジャナ・ベラーさんは、
ある日、2本足の仔犬たちが
インターネットで販売されているのを
知ります。偶発的に起こった
先天性奇形だと思ったジャナさんは、
仔犬たちを助けようとして、この件に
介入することにしました。
先天性奇形があるにも関わらず、
仔犬たちは1匹につき75ドルで
販売されていました。そこで
ジャナさんは、売り手に
『物珍しさで仔犬を売るので
あれば、私に仔犬を引き渡して
欲しい』と交渉することに。
結果、仔犬たちの飼い主と
連絡が付き、彼女が自称ブリーダー
だと知りました。ジャナさんが
驚いたことには、この5匹の
仔犬たちは、それぞれ別の3匹の
母犬から生まれていたのです。
このブリーダーは、親犬に何らかの
遺伝的問題があると分かっていながら、
何度も繁殖を繰り返していました。
今までにも、別の保護団体が2本足の
仔犬たちを助けていたことも
発覚しました。偶発的ではなく、
故意に先天的奇形を持った仔犬を
繁殖していた例は、今までに扱った
ことはないとジャナさんは語って
います。どの犬にも幸せな人生を
送る権利はあるどの犬にも、
健康で幸せな一生を送る権利は
あるはずです。ところが、
心無いブリーダーの私欲に走った
無理な繁殖のために、これらの
2本足の仔犬たちは、生まれる前から
すでにハンデを背負わされていました。
あいにく、ふたつの保護団体が仔犬の
救助に成功した後、この自称
ブリーダーは廃業することに
決めたそうです。
5匹の仔犬たちは、2本足なために
歩きづらいことを除いては健康に
暮らし、新しい家族を待っているそう。
しかし、犬たちの『quality of life』
を考慮すると、やはり車椅子が必要に
なります。犬専用の車椅子会社
Eddie's Wheelsが仔犬たちに格安で
車椅子を作成してくれることに
なったのは、喜ばしいニュースです。
しかし、まだまだ多くの人たち
からの金銭的な援助が不可欠で
あるのは言うまでもありません。
もちろん、私たちには犬の入手先を
選ぶ自由があります。しかし、
その前に、その犬がどこからやって
来たのか、どのような人物に、
どのような環境や条件で繁殖されたのか
を考えなければならないでしょう。
ブリーダーから仔犬を譲り受ける
場合は、『ブリーダー』という言葉を
やみくもに信じるのではなく、
そのブリーダーが果たして良心的な
ブリーダーかをしっかり見極める
必要性があります。私たち一人一人が
意識を変え、物事をよりよく知ろうと
することで、1匹でも不幸な犬は減る
のではないでしょうか?
参照:Dog Breeder Produces
Litter After Litter Of Deformed Pups