
高知県施設に収容され、譲渡を待つ犬
(高知市孕東町の中央小動物管理センター)
高知県は保健所などで
引き取った犬と猫の譲渡に関する要領
「高知県犬及び猫の譲渡実施要領」を
初めて策定し、6月1日から
運用を始める。
高知県から譲渡を受ける飼い主には、
飼養状況の報告や猫の室内飼育を
義務づけるなどの内容。
犬や猫を一時的に預かって
希望者に引き渡す「譲渡ボランティア」
の登録制度もスタートさせる。
譲渡ボランティア導入は
全国で37番目。
一部のボランティア団体からは
「ルールの要件が厳しく、これでは
犬猫の生命をより多く救うことに
ならない」との指摘がある。
譲渡を受ける飼い主には、
不妊・去勢手術といった
繁殖制限措置をする
▽猫は完全室内飼育する
▽譲渡動物の状態を直接確認する
▽譲渡60日後に飼養状況報告書を
提出する―ことなどを規定した。
犬猫を高知県から受け取って
新たな飼い主を探す譲渡ボランティアは
個人、団体とも随時、申請可能。
営利目的でない
▽高知県内に適正飼養できる施設がある
▽飼い主に動物の状態を直接見せた上で
譲渡する▽飼養状況報告書を
60日ごとに提出する―ことなどが
条件となる。
ただ、要領については
一部のボランティア団体から
「完全室内飼育の義務づけなど
譲渡のハードルが高い」との
指摘も出ている。
四万十市と幡多郡黒潮町で
活動する「小さないのちを守る会」
(矢野富久味代表)は5月31日、
「譲渡対象の犬猫を増やして」などと
訴える要望書を、
国内外の3570人の署名を
添えて健康政策部の山本治部長に
手渡した。
小さないのちを守る会は、
中山間では屋外飼育も認めるべき
▽直接確認が必須となると県外への譲渡の
可能性が減る―などと指摘した。
高知県は「屋外飼育はふん尿などの
苦情も多く、屋内飼育は猫の安全の
ためにも良い」「ペットショップも
直接確認しての取引が義務づけられている」
などと応じた。
高知県内で殺処分される猫の9割を
占める離乳前の子猫については
「(収容施設の小動物管理センター職員が)
3時間おきにミルクを与えたりする世話が
現時点ではできず、新たな飼い主が
見つかるまで置いておくことができない」
として、従来通り譲渡対象としないとした。
高知県はこれまでに犬猫の引き取りの
有料化や全国初の雌猫の不妊手術費の
助成などを実施。1997年に5千匹を
超えていた犬の殺処分は103匹
(2015年度)に減少。猫の殺処分も
1997年の約5500匹から
約1700匹(2015年度に
なっている。
殺処分が年々減る一方、
譲渡数はほぼ横ばい。高知市と
四万十市にある小動物管理センターは
35年ほど前に殺処分を前提に
建設されたもので、譲渡用の犬は
高知市で20匹、四万十市で
15匹程度しか収容できない。
「施設が満杯になると、譲渡適性が低い
犬からやむを得ず殺処分せざるを
得ない状況」(高知県食品・衛生課)だ。
高知県食品・衛生課は
「現在の施設では取り組みに限界がある」
と指摘。譲渡を前提に犬猫などを飼育する
動物愛護センターの設置が全国で
進んでおり、高知県でも建設を
検討するという。