動物愛護に貢献した団体や個人、
功労動物などを顕彰する
第8回日本動物大賞の表彰式が
このほど、東京都内で開かれた。
犬猫と一緒に暮らせるとして
注目されている特別養護老人ホーム
「さくらの里山科」
(神奈川県横須賀市)が、
社会貢献賞を受賞した。
(末尾にフォトギャラリーがあります)
同ホームでは現在、犬6匹と
猫10匹、高齢者40人がともに
暮らす。
飼い主が連れて来ただけでなく、
施設が独自に保健所から迎えたり、
飼い主が亡くなり取り残されていたのを
引き取ったりした犬猫もいる。
表彰状を受け取った
田端直子副施設長は
「かつて、老人ホームに入るために
ペットと別れ、深い悲しみの中で
亡くなった方がいらした。
私たち老人福祉に携わる者は
、福祉の問題としてご高齢者の
ペットを救わなければならないと
強く思いました。
その思いと、ご高齢者様の生活の
質を向上させたいという思いが
結びついた結果です」と話した。
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「桜の里山科」での動物と
高齢者のふれあいの様子
=「桜の里山科提供」
犬や猫と最期まで暮らせる
老人ホーム、日本動物愛護協会が表彰
犬や猫と一緒に入れる
老人ホーム 「子ども以上の存在」
ボランティアが散歩、
保護犬も入居
グランプリは岐阜県本巣市立弾正小学校
(全校児童318人)が受賞した。
37年前から、動物たちが快適に
暮らせる飼育舎「動物ランド」を
校内に作り、様々な小動物を
子どもたちが飼育してきた。
地域を巻き込んでの取り組みで
あることも評価された。
現在は、飼育舎内を10カ所に
仕切り、マガモ、アヒル、モルモット、
ウサギなど7種類22匹(羽)を
飼育中だ。
小動物を学校で飼うこと自体は
珍しくないが、さまざまな感染症や
児童のアレルギーが理由で断念する
ところも最近は増えているという。
吉村雅子校長によると、
子どもたちは朝、登校すると、
動物ランドの動物に「おはよう」と
声をかけ、「思い出ランド」と
名付けた動物のお墓に手を合わせる
という。
「(土にかえった)動物とお話を
している子もいるんですよ」
動物ランド委員の児童は、日々、
動物たちの健康状態や飼育環境を
チェックする。
昼食後の20分休憩には、
2年生から6年生が分担して、
飼育舎の掃除や餌やりをする。
動物アレルギーのある児童も、
飼育舎から少し離れた場所で
エサの準備をするなど、
「子供なりに工夫して」
(吉村校長)出来る範囲で
参加しているという。
エサは、動物を担当する
児童の家庭で準備する。
年4、5回の休日当番の引率や、
小屋に敷く藻やエサとなる古米
の提供など、地域の人々にも
協力してもらっている。
まさに家ぐるみ、町ぐるみだ。
感謝の気持ちとして、学校側は
年1度、動物ランド祭りを開いて
飼育の様子などを発表する。
「動物はすべての子供たちの
成長に大きく貢献していると思う。
保護者と地域の方々のご協力を
いただいてこそできるが、
今後も継続してきたい」
(吉村校長)

成長したスナメリの子
=しものせき水族館提供
スナメリの「かんな」(雌)と
「みさき」(雄)は功労動物賞を
受賞した。
埋め立て中の港湾内に入り込み
漁網に絡まったところを助けられ、
山口県下関市のしものせき水族館で
調査研究目的で飼育されている。
繁殖研究の結果、昨年5月には
2頭の間に雄が生まれた。
救護した個体同士の繁殖は
国内初という。
同じく功労賞のアジアゾウ
「アヌーラ」(雄、推定63歳)は
1956年に親善大使として
スリランカから来た。
国内で飼育されている雄の象では
最高齢で、長寿記録を日々、
更新している。
多摩動物公園(東京都日野市)
飼育展示課の藤本卓也さんは
「3年ほど前から、夏場の季節に
限ってアヌーラを夜間の砂場に
出して、のびのびとさせている」
という。

食事をするアヌーラ=多摩動物公園提供
■日本動物大賞
【グランプリ】
岐阜県本巣市立弾正小学校
「動物ランド」
【功労動物賞】
スナメリ
「かんな」「みさき」「子供」
(山口県下関市・しものせき水族館)
/アジアゾウ「アヌーラ」
(東京都日野市・多摩動物公園)
【社会貢献賞】
「さくらの里山科」
(神奈川県横須賀市、若山三千彦施設長)
■主催:公益財団法人日本動物愛護協会
■審査委員(敬称略)
:湯川れい子(審査委員長
、音楽評論家、日本パンダ保護協会評議員)、
須田沖夫(福委員長、日本動物愛護協会常任理事)、
大塚敦子(フォトジャーナリスト)、
加藤由子(動物ライター、ヒトと動物の関係学会幹事)、
菅谷博(茨城県自然博物館館長)
(藤村かおり)