野良猫に餌 ルール化 | トピックス

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2016年03月03日 Copyright © The Yomiuri Shimbun

◇県条例改正案審議 来春施行へ
「住民に説明」など


 地域にいる野良猫に餌をやる際の
ルールを定めた県の条例改正案が、
県議会の2月定例会で審議されている。

餌やりを希望する人に対し、
周辺住民に事情を説明し、
生活環境を悪化させないなどの
条件を満たす場合に限り、
餌やりを認める内容。

無秩序な繁殖を防ぎ、
殺処分する猫を減らすのを狙いにし、
違反者には5万円以下の過料を
科す罰則を設ける。
(大森篤志、村山卓也)

 条例は「動物愛護管理条例」。
議会で可決されれば、1年間の
周知期間をへて2017年4月1日から
施行される。

同種の条例は新潟市、
京都市などにもあるが、
都道府県では初めてだという。
委員会審議を経て17日の
本会議で採決される。

 許容する餌やりのルールは
▽周辺住民への説明に努める
▽幼い猫や不妊・去勢手術した猫など
  生殖できない猫に限定
▽周辺の生活環境に支障を生じさせない
▽排せつ物を適正に処理する――
などと定め、これらを満たさない場合は
「不可」とする。

ただし、不妊・去勢手術を施すため
捕獲した猫や衰弱した猫に
一時的に餌を与えることは例外として認める。

 条例改正案をとりまとめるまでには
曲折があった。

県は昨年8月、殺処分の野良猫を減らそうと、
野良猫への餌やりを原則禁止にする
改正案を発表。

その後、2回行ったパブリックコメント
(意見公募)で県内外から約900件の
意見が寄せられるなど、
大きな反響があった。

 「餌やりを禁止して野良猫を餓死、
衰弱死させようとするのか」などと
批判的な意見が多く、県は1回目の
意見公募後の昨年11月、
当初の改正案を修正。

「餌やりは原則禁止」とした部分を、
「ルールを守れば餌やりを一部認める」
と大幅に緩和した。

 猫の餌やりへの規制は、
鳴き声やふんに困る住民の声を
踏まえ、各地の自治体が対応に
乗り出している。

 パイオニアといえる存在が東京都荒川区。

08年、猫を含む動物に餌をやることを
禁止する条例を制定した。

新潟市も13年、野良猫などに
餌を与える際、不妊・去勢手術などを
するように努力義務を課す条例を施行。

同市は犬や猫を10匹以上飼う場合、
市長への届け出が必要と定め、
違反者には罰則(5万円以下の過料)
も設けた。

 関西では京都市が昨年7月、
市長の命令に従わず、野良猫や
ハトなどに不適切な餌やりを
続けた場合、罰則(5万円以下の過料)
を科す、他自治体と比べても
厳しい条例を施行し、注目を集めた。

 市民からの相談を踏まえ、
同市は15年4~12月に動物への
餌やりに絡み、約130件の
改善指導をしたという。


 野良猫を保健所から引き取って、
新しい飼い主を探すなどの業務に
当たっている「県動物愛護センター」
(紀美野町)は4月から、離乳前の
野良猫の場合、ボランティアが
一時的に預かり、一般の人に譲渡できる
状態になるまで育てる制度を新たに始める。

幼い猫を保護する機会を少しでも
増やすのが目的。

センターは
「条例で定める餌やりルールと合わせ、
不幸な猫を減らしたい」としている。