牧草搬入に抗議 一方で要請も | トピックス

トピックス

身近で起こっている動物に関する事件や情報の発信blogです。

2015年(平成27年)11月20日[金曜日]
東北ニュース


白石市が、原発事故で出た
放射性物質で汚染された牧草を
福島県の牧場に運び出したことについて、
地元の浪江町の馬場有町長が
白石市役所を訪れ、
「ほかの汚染廃棄物の搬入に
つながるおそれがある」などとして、
抗議しました。

白石市は、福島県の南相馬市と
浪江町にまたがる牧場
「希望の牧場・ふくしま」からの
要請を受けて、先月から今月にかけて、
原発事故で発生した放射性物質を
含む汚染された牧草およそ
500トンを被ばくした
牛のエサ用として運び出しました。

これについて、浪江町の馬場町長が
20日午後、白石市役所を訪れて
佐々木徹副市長と面会しました。

この中で馬場町長は、
「市が汚染された牧草を運びこむことは
きわめて遺憾で浪江町民の帰還意欲の
低下を招くうえ、ほかの汚染廃棄物の
搬入につながるおそれがある」と
する抗議文を手渡しました。

その後の会談は非公開で行われましたが、
白石市によりますと、
白石市側は「運び込んだのは
8000ベクレル以下の牧草で
牛も出荷を目的としていないもので
問題はない」と主張したと
いうことです。

面会のあと馬場町長は、
「町に事前の相談通告もなく、
国や県の方針に反すことが
あり大変遺憾だ。

浪江町としては牧草は受け入れない」と
述べる一方、佐々木副市長は
「今回の件は違法行為ではなく、
動物愛護の観点から決断したことで、
我々の行動は正しかった」
と述べました。

これに先立って、
「希望の牧場・ふくしま」の
吉沢正巳代表が20日午前、
宮城県庁を訪れて農林水産部の
横山亮一次長と面会しました。

吉沢代表は
「汚染牧草は被ばくした牛のエ
サとして必要なものだ。
農家も自治体も処理方法に
行き詰っているが私たちの牧場に
運び込めば解決できる」などと
述べました。

その上で、県内に保管されている
放射性物質の濃度が1キログラムあたり
8000ベクレル以下の汚染された
牧草や稲わらについて被ばくした
牛のエサ用として白石市以外の分も
運び入れを認めるよう要請しました。

これに対し、横山次長は
「白石市は農家を思っての苦渋の
判断だったとは思うが、
浪江町にも帰還したい人もいるだろう。
県としては汚染された牧草を
利用しないよう自粛を求める
方針に変わりはない。

まずは福島県や浪江町と牧場側とで
話しあってほしい」と述べました。

要請を終えたあと吉沢代表は記者会見し、
「原発事故で国は被ばくした
牛を殺処分するよう指示したが、
私たちは見捨てられないと
思い方針に従わずに
牛を飼いつづけると決めた。

エサがなければ牛たちは
餓死してしまうので、白石市の
判断は勇気をもった英断であり
本当に感謝している。

今後浪江町などが私たちの
業務を妨害するようなら
法的な措置も検討したい」
と述べました。