犬猫2万匹、流通過程で死ぬ 国内流通で初の実数判明 | トピックス

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太田匡彦2015年9月29日11時41分朝日新聞より

2014年度に国内で販売される
などして流通した犬猫の数は
約75万匹で、その約3%にあたる
2万3千匹余りが流通過程で
死んでいたことが、朝日新聞と
AERAの調査でわかった。

犬猫の国内流通の実数が判明するのは
初めて。

 13年9月に施行された
改正動物愛護法で、繁殖業者や
ペットショップなどに提出が
義務付けられた
「犬猫等販売業者定期報告届出書」の
13年度分(9月施行のため原則的に
同月以降の7カ月分)と14年度分を
独自に集計した結果、判明した。

この届出書は、各業者が年度中に
販売したり死亡したりした犬猫の数を
所管の自治体に報告するもの。

「販売や繁殖に使われる犬猫が適正に
取り扱われているかどうか把握するため」
(環境省)に導入された。

 集計の結果、販売または、
不要になるなどしたため無償で
引き渡された犬が、
13年度は37万894匹、
14年度は61万7009匹いた。

猫はそれぞれ7万2569匹と、
13万3554匹だった。

 一方、繁殖から小売りまでの
流通過程で死んだ犬猫の数は、
13年度に1万7038匹、
14年度に2万3181匹にのぼった。

それぞれ流通量の3・84%(13年度)、
3・08%(14年度)だった。

死因については報告義務がない。

 これまで流通の実数は把握されておらず、
環境省は09年、販売業者らに調査して
犬は年間約59万5千匹、
猫は同7万5千~17万匹と推計。

そのうち死亡した犬は約450匹、
猫は約80~約240匹に
とどまると見ていた。

流通が専門の岩倉由貴・
横浜商科大准教授(経営学)は
こう指摘する。

 「実数が把握できることでようやく
犬猫の流通・小売りの全体像が見え、
どこが課題なのかがわかってくる。
効果的な政策立案が可能になり、
生体販売について研究が進むことも期待される」

 流通過程で死亡する犬猫が環境省の
推計の33倍以上、流通量全体の
3~4%に達すると判明したことで、
ペットショップなど業者への規制が
進む可能性もある。

日本動物福祉協会特別顧問の
山口千津子・獣医師はいう。

 「死亡数が多いのには驚いた。
これまで推計しかなかった犬猫の
流通の実数がつかめる意義は大きく、
ペットを巡る問題の対策を検討する
際のベースになっていく数字だ。
毎年これらのデータを集計し、
分析していくようにすべきだ」

     ◇

◆10月5日発売
(一部地域は発売日が異なる)の
AERAで詳報します。
後日「sippo」にもデータなどを
掲載します。(太田匡彦)