●ボランティアとも連携、「ゼロ」実現へ
飼い主から見捨てられるなどして、
北九州市動物愛護センター
(小倉北区西港町)が引き取って
殺処分した犬や猫の数がここ数年、
急激に減少している。
2014年度の殺処分数は382匹で、
08年度の2988匹から
87%減った。
飼い主への終生飼育の啓発や、
動物愛護団体と協力して譲渡を
進めてきたことが背景にあるという。
センターは今後、一時的に猫を預かる
「ミルクボランティア」などと
協力し、「殺処分ゼロ」の実現を
目指す。
新たな飼い主だと思ったのだろうか。
17日、センターを訪ねると、
檻(おり)の中の犬がしっぽを
振って近寄ってきた。
この日、センターには飼い主が
持ち込んだり、街頭で捕獲されたりした
犬や猫が、それぞれ37匹ずつ収容
されていた。
これらの犬や猫は一定期間内に
飼い主が名乗りを上げなかったり、
譲渡先が見つからなかったりした場合は、
条例に基づき安楽死させる。
センターが14年度に引き取った犬と
猫は1121匹で、
うち殺処分は犬47匹、
猫335匹の計382匹。
08年度の殺処分数は政令市で
5番目に多かったが、
14年度は11番目だった。
市は08年度以降、
殺処分を減らすため引き取りを
有料化し、各区役所に置いていた
窓口をセンターに集約した。
譲渡や啓発に当たっては
動物愛護団体と協力。
13年9月からは
「新たな飼い主を探す努力をしたか」
などを尋ね、やむを得ない場合を
除いて引き取りを断っている。
犬に比べ多い猫の殺処分を
減らすため、12年度には子猫を
2~3カ月預かり、ミルク離れして
譲渡できるまで育てる
「ミルクボランティア」も開始。
現在9人が登録しており、
12月にかけて追加公募する。
現在40~50匹ある猫の
収容スペースの拡充も計画している。
山本康之所長は
「飼い主の意識の高まりで
引き取る数が減っていることに加え、
殺処分を減らす努力が実を
結びつつある」と分析する。
市は昨年11月、
処分する犬猫がいない社会の実現を
目指す「致死処分ゼロ社会宣言」を
行った。
センターは今後、子どもたちが
動物と触れ合って交流できる
機能などを設けることも検討する。
山本所長は
「小さいころから命の大切さを学んで、
最後まで責任を持って育てる
心をはぐくんでほしい」と話す。
=2015/09/24付 西日本新聞朝刊=

北九州市動物愛護センターに
引き取られ、
新たな飼い主を待つ子犬