犬猫守れ、命の授業…高知・幡多農高 | トピックス

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2015年09月08日 12時10分読売中高生新聞


命の授業」の一環で、
収容された犬に見入る生徒ら
(四万十市の県中村小動物管理
       センターで)


高知県内で殺処分される犬や猫を
少しでも減らそうと、県内で動物愛護活動に
関わるボランティアらが、人と動物との
共生や命の大切さなどについて考える
「いま高校生に伝えたい~命の授業~」
を四万十市古津賀の県立幡多農業高校で
開いた。

 一方、県も猫の不妊手術の手術費用を
助成する制度を新設するなど、
官民で殺処分の減少に向けた取り組みが
進み始めた。

 「命の授業」は、県内で動物愛護活動に
関わる人たちがプロジェクトチームを
結成して企画。

同チームによると、県内では多くの犬や猫が
殺処分されており、人口あたりの
都道府県別の犬猫の殺処分率は
2012年度が全国ワースト3位で、
11年度はワースト1位だったという。

「人と動物が安心して共に暮らせる
健全な社会」を考えてもらおうと、
同校に呼びかけて実現した。

 8月に同校で開かれた教室には、
夏休み中にもかかわらず、
畜産学などを学ぶアグリサイエンス科の
生徒約50人が参加。

獣医師の西山ゆう子さん(54)が
「アメリカでシェルターでの
安楽死が減った理由~20年の
軌跡の奇跡」と題して講演した。

 西山さんは、日米両国で動物虐待などの
問題に関わり、犬猫の不妊去勢手術を
日本に普及させ、「不妊去勢手術の母」
とも呼ばれている。

 講演で西山さんは、
ロサンゼルスではかつて、
悪質な繁殖業者が横行し、
安楽死させられるペットも多かった
ことを説明。

現在では、ペットショップは
繁殖業者とは取引せず、譲渡される
犬猫だけを扱うようになったことや、
ほぼすべての犬猫に不妊手術が
義務づけられるまでになったことを
紹介し、「一人の力は弱いかもしれないが、
その力が集まれば世の中を
変えることもできる」と呼び掛けた。

 講演後、生徒は同校近くで犬猫を
引き取る「県中村小動物管理センター」
を訪問。

鉄格子の中から懸命に尾を振る犬などを
複雑な表情で見つめていた。

1年野並拓也さん(16)は
「殺処分の話は重かった。
何とかしたい」と話していた。

 県も犬猫の殺処分の削減に向けた
取り組みを進めている。

12年10月には、飼い主から
猫の引き取りを有料にしたほか、
14年7月には都道府県レベルでは
初めて、雌猫の不妊手術の費用を
一部負担する制度を始めた。

飼い猫(1匹の補助額6000円)
だけでなく、ボランティアが
世話している猫(同1万円)も
対象にしたのが特徴。

 これらの結果、犬猫の殺処分数は、
犬が12年度の567匹が14年度は
218匹、猫も3487匹が
2140匹にそれぞれ減少した。

担当する県食品・衛生課は
「犬猫の譲渡会を積極的に開くなどの
取り組みを進めたい」としている。
(広浜隆志)

2015年09月08日 12時10分
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