2015.7.20東京犬猫日和より
【犬は暑さが苦手】
犬は暑さに弱い動物です。
ヨーロッパを原産とする犬が多いので、
日本の高温多湿の暑さは苦手です。
犬は気温22℃、湿度60%を超える
と熱中症の危険が高まります。
熱中症になると、最悪の場合
死亡することあるので、
暑さ対策は万全にしておきましょう。
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※サマーカットは犬には地獄!
ゴールデンやシーズー、G・ピレニーズなどの
毛の長い犬を飼われている方で、
夏は暑そうと全身をサマーカット
される方がいらっしゃいます。
確かに見た目は涼しそうですが、
実はこれが犬には大変迷惑、
30℃超えの日々は地獄となるでしょう。
オーストラリアでの研究では、
温度38℃、快晴の状態で、
長さ8センチの毛で覆われた羊の体温は
高くても42℃止まりと確認されています。
毛の先端は輻射熱で85℃になっていても
空気を含んだ厚い毛が断熱材の
役割りを果たし、見事に羊が熱中症に
なるのを防いでいます。
日本でも羊の毛刈りは3月~5月頃に
行われます。
けして夏に毛を刈ることはありません、
暑い夏には毛が伸びているように
考えてのことです。
犬もまったく同じです。
シベリアが原産のサモエドは全身を
真っ白で長い毛で包まれています。
原産地は真冬、マイナス40℃。
そしてシベリア内陸部が原産地ですので、
夏はプラス40℃近い日もあるのです。
彼らの長い毛は、寒さだけではなく
暑さ対策においても優れものなのです。
普通の暮らしをしている犬は、
けしてサマーカットをしてはいけません!
例外は、ディスクの大会を目指す
犬などで、灼熱の中でも激しい
トレーニングをしなければいけない子、
つまり動きで体内上昇がさけられない
犬です。
彼らはサマーカットすることで
放熱量を増やしますが、
これはあくまでも特例です。
普通の犬がカットされると、
真夏に毛を刈られたあわれな
羊と同じ状態になります。
散歩から帰った玄関先にも
タライを用意。
冷たい水を入れたタライに
4本の足の先を浸けることで、
足首の太い血管を流れる血が冷やされ、
まるでラジエーター液のように全身を巡り、
体温を下げ、熱中症を防止します。
頭の上から水をかける必要はありません。
特別に暑い日は、犬が前足で腹に
水をかけたり、腹這いになって
自主的にクールダウンを強化
するでしょう。
もともと犬たちは水遊びが好きです。
楽しみながら熱中症を防ぐ最高の
手法です。
吐いてもかまいません、
水はたっぷり飲ませましょう!
よく、運動の後ですぐに水を飲ませると
吐き戻すので、落ちついてからと
言われる方がいます。
でも犬たちは
『飲みたい時に水があることが幸せ』
です。
喉が渇くだけではなく、口を開け、
舌を中心に水分を蒸散させ、
それによって体温を下げている彼らには、
水を飲むことはとても重要な作業、
ぜひ、好きなだけ飲ませて下さい。
飲めるように用意しておいて下さい。
吐いたとしてもなんの問題もありません
(暑さ以外のケースでの多飲、吐瀉は別です)。
サモエドは口からの蒸散だけで
1日2ℓ以上の水が必要です。
あなたの犬の性格、動きを考え、
咬み破らないものを大いに
利用しましょう。
※ 夏の散歩はてきとうに!
涼しい時と同じ時間、
コースにこだわることはありません。
その日の状況で短縮バージョン、
時には真夜中、そしてたまには
散歩中止もいいでしょう。
それによって実は飼い主さんと
犬の絆が太くなります。
思いがけぬことが重要です。
※犬と一緒のドライブ、
旅行における注意点です。
いつもの餌は忘れよう!
食べ慣れたフードを持参し、
家に居る時と同じ量を、同じような時間に
わざわざ 与える方がいらっしゃいます。
これはとても危ういことです。
特に気を付けなければいけないのは
ドライフードです。
穀類を粉末、顆粒状にしている
ドライフードは、食べてすぐに水を飲むと、
胃の中で溶けてふくらみ、
時にはノリ状となって捻転、閉塞を
引き起こすことがあります。
旅先では犬のテンションも
上がっています。
様々な楽しさで動きも日常よりも
激しいでしょう。
そんな時は水をたくさん飲みます。
従ってドライフードによる危険度が
高まることになります。
短い時間の旅ならば
(最長1週間程度まで)、
ぜひ『本物食』がおすすめです。
本物食とは缶詰、肉、ハム、ソーセージ、
人間が食べるもの等、美味しく、
それ自体は水を吸って大きく
容積を増やさないものです。
ライスがベースのドライフードを
使っているならば、旅の間だけは
私たちのおにぎりを与えれば
良いことです(すでに水分をたっぷり
含んでいます)。
もうひとつのコツは、量を少なめにです。
さらに食後は楽しい遊びや移動を避け、
犬を横にのんびり訪問地の素晴らしい
景色でも眺めましょう。
※車内温度と風にご注意!
犬たちは、同じ35℃でも空気が
動いているか淀んでいるかで
生理的な影響が違います。
風が通ることで犬の舌からの
水分蒸散が進みます。
体温が下がります。
ぜひともクーラーだけではなく、
窓を開けて空気が動く
状態を作って下さい。
最大の敵、直射日光は避けましょう。
車窓前面に紫外線カットのシートを
貼るなどの工夫が必要です。
長い時間停車している場合は、
太陽の移動にも気を使いましょう。
車で外出するときは、短時間でも
車の中に犬を閉じ込めておいては
いけません。
エアコンをかけていても突然停止
することがあります。
実際にそのような事故は起きて
いるのです。
絶対に、車内に犬を残したままに
しないでください。
そして、水筒やペットボトルの水を
持参するのも忘れないように
してください。
最近は異常気象で、昔では
考えられないような猛暑が続くことが
あります。
暑さで高齢犬や病気の犬は、
一気に体力を消耗してしまいます。
こんな症状が出たならすぐに
獣医さんの所へ!
1.とにかく水をよく飲む、
よだれも多く、そして飲んで
は吐くを繰り返す。
2.足を囲い込み、横座りの姿勢で、
呼吸が荒く、瞳の焦点は10メートル
先あたりにおかれている(腹部の痛み)。
3.何もしていないのに『ヒィヒィ』と
啼いてやまない。
4.腹部に膨満感があり、
触るといやがる。
5.鼻が乾き、耳が熱い(高熱)、
切迫呼吸も続く。
大好きな物も口にしない。
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【暑さに弱いとされる犬種・タイプ】
次の犬種・タイプは特に暑さに
弱いとされています。
・鼻の短い犬種:パグ、シーズー、
フレンチブルドッグ、
ボストンテリアなど
・被毛が厚い犬種:シェットランド
シープドッグ、
ポメラニアンなど
・ヘアレスの犬種:メキシカンヘアレス
ドッグ、
チャイニーズクレステッドドッグなど
・北方生まれの犬種:シベリアンハスキー、
サモエド、ボルゾイなど
・黒っぽい毛色の犬:太陽熱を吸収しやすい
・肥満の犬:脂肪により体温が下がりにくい
・幼犬・老犬:体力がないため、暑さの影響を受けやすい
病気や病後など抵抗力が
低下している場合も、
暑さの影響を受けやすくなっています。
このような犬の場合は、
特に十分な暑さ対策が必要です。
そんなときは我慢をせず、
エアコンをつけてあげましょう。
臨機応変に対応してください。
ただし、くれぐれも冷やしすぎないように。
そして、いつでも新鮮な水を飲めるように
してあげることが重要です。
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日本の気候の変化は
多種多様な犬や猫たちにとって
命に関わる事態になっています。
家族を守れるのは飼い主である
あなただけです。
楽しい夏の時期、大切な家族を
守ってあげてください。
東京犬猫日和