3月4日(水)ちばとぴ by 千葉日報 より
◆県条例「責任と自覚を」
県衛生指導課によると、ここ数年、県内での
犬猫の殺処分数は全国でワースト上位が続く。
特に猫の殺処分は多く、09年度は5722頭、
10年度は4866頭で、連続でワーストワン。
11~13年度は3537~2568頭で、殺処分数は
年々減少しているものの、いずれもワースト10
内に入るのが現状だ。
来月1日施行の県動物愛護管理条例は飼い主の
責任と自覚を促し、殺処分減につなげるのが狙い。
避妊・去勢手術、飼い主の情報を記録したマイクロ
チップ装着、猫の屋内飼育を勧奨するなど、飼い主
による管理を強化。ずさんな飼育をする飼い主には
指導も行っていく方針という。
同課公衆衛生獣医班の可世木仁哉班長(48)に
よると「千葉は温暖で動物が暮らしやすい。避妊
去勢手術をせずに放し飼いにすると、犬や猫が
次々に生まれる。
飼い主が手に負えなくなり、殺処分につながって
しまう」と嘆く。
また、飼育費用や転居など、身勝手な理由で
動物を捨てる飼い主も多いといい、「動物はおもちゃ
じゃない。家族の一員として飼う覚悟を持ってほしい」
と呼び掛けている。
◆映画上映や意見交換会
「殺処分ゼロ」を目指し、県内の市民団体も奮闘
している。
松戸市の市民団体「動物福祉団体いのち」(木村
悦子代表)は13年5月の設立以来、殺処分や命を
テーマにしたドキュメンタリー映画『犬と猫と人間と』の
上映会を地元や千葉市などで7回開催。
上映後に参加者との意見交換会も開き、殺処分に
ついて話し合う場を提供している。
ドイツ出身の同団体のボランティア、吉田マデリン
さん(25)=同市=は昨年2月、日本人男性と結婚し
来日。上映会に参加し殺処分を知ったときは、
ショックで言葉を失ったという。
「ドイツでは、殺処分はゼロに近い。
動物の命が人間と同じように尊重されている」ためだ。
「日本の思いやりの文化を、動物にも向けて」と
ボランティアに身を投じた。独自に、野良猫を引き
取ったり、保護して自費で避妊・去勢手術を受け
させる活動も続けている。
「1頭にかかる手術費は、どんなに安くても約5千円。
費用はかかるが殺処分をなくすため」とアルバイトで
費用を工面している。
捨てられた動物を見過ごせず自宅に連れ帰っては、
夫とけんかになることもあった。「殺処分の現実が
つらくて、ドイツに帰りたいと何度も思った。でも、
日本とドイツの良いところを生かして私ができることを-
と考えたら、少し気持ちが楽になった」
「ドイツでは家庭で動物を飼育する場合はブリーダーや
シェルター(保護施設)からの譲渡がほとんど」という。
「ペットを“買う”のではなく、命を“譲り受ける”意識を
持ってほしい」と訴えた。