2025年12月28日 読売新聞オンライン
岩国市の観光大使を務める飼い犬の 柴 犬ジェームスJr.(雄、10歳)とともに、動物愛護や同市観光PRの活動に取り組んでいる。元保護犬の愛犬は、行く先々で愛らしい姿が大人気。そのそばで「動物も人と同じように幸せになってほしい」と願う。

故郷である岩国市の県立岩国商高で11月、愛犬とともに特別講義に臨んだ。愛犬の姿をあしらったポストカードやクリアファイルなどの特製グッズを販売し、売り上げの一部を動物愛護センターに寄付していることなどを説明した。
「動物愛護のためにできることは何かを皆さんも考えてみてほしい」。真剣に聴き入る3年生約90人に語りかけた。終了後はジェームスJr.との記念撮影で盛り上がる様子を見守った。
愛犬との出会いは2019年。結婚を機に移り住んでいた京都市で、新しい飼い主が求められている保護犬のことを知った。飼っていた外国人留学生が帰国し、引き継いだ次の飼い主による飼育環境は行き届いたものではなかった。
「散歩もほとんどなく、一日のほとんどをぐったりして過ごす毎日。夜間は建物の空調が切られ、朝には暑さでへとへとになっていた」。過酷な境遇を知って涙が止まらず、引き取りを決めた。
以来、「二人三脚」で動物愛護の活動に奔走する。岩国市の酒造会社と協力し、愛犬をラベルにデザインした日本酒を販売して寄付金に充てた。岩国商高の生徒が商品の販売や接客を体験するイベント「プラザ岩商」にも参加し、グッズ販売の売り上げを今年11月、岩国市に贈った。贈呈式で福田良彦市長は「本当に感謝」とお礼を述べた。
岩国の観光PRには、以前の飼い犬だった初代「ジェームス」の時代から携わっている。ともに岩国の観光地をインターネット上で紹介するなどし、16年にジェームスが観光大使になった。ジェームスの死を受けて、Jr.が20年8月に後を継いだ。
そのJr.は、24年度から高校商業科の科目「観光ビジネス」の教科書(実教出版)に自治体の観光政策の一例として掲載され、「岩国市のPRを担っている」と紹介された。同市出身の俳優松林慎司さんに求められて出演した長編映画「かぶと島が浮く日」は、同市を舞台としており、26年に公開される予定だ。
岩国市の公式観光ホームページ「岩国旅の架け橋」にも登場し、ペットと旅ができる観光地の紹介に一役買っている。同市の国名勝・錦帯橋は飼い犬などが歩いて渡ることができ、岩国城ロープウェーにはキャリーケースに入って乗ることができる、といったことを写真付きで紹介している。
Jr.とイベントに参加したときは、たくさんの人になでられる愛犬を見るのがとてもうれしい。「つらい境遇にあったからだろうか、引き取った当初は表情がなかった。今は目の輝きを感じる」とほほえむ。
現在は、住まいがある京都と岩国市を行き来する日々だ。「ジェームスJr.君を通じて世の中の人が岩国のことも知り、併せて動物愛護についての理解を深めてくれれば」と期待している。
プロフィル 岩国市出身。京都府在住。山口芸術短大で学び、音楽教室でピアノと電子オルガンの講師として活動した。趣味はジェームスJr.との旅行で、川棚温泉などを旅したのが良い思い出。「ペットと泊まることができる宿泊施設がもっと増えてくれたら」と語る。愛犬との活動はホームページ「嵐山の柴犬ジェームス」( https://james-kyoto.com/ )などで紹介している。