野望の野暮用 | Cento trenta森井のブログ

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「因果応報」なんて事を申しまして。

 

人生には三つの坂が有るらしい。

「上り坂」、「下り坂」、そして「まさか」。

誰の言葉かは知らんけど言い得て妙也。

 

昔の話なんですが本気で服作りをするために勉強して居たことがあります。

今となってはネタみたいな話に落ち着いてますが、

当時服を作って何がしたかったのかも全然具体的じゃなかったと思います。

 

業界の事を何もわからないのもダメだと思って販売員として職につき、

今だから言いますが3〜5年経験を積んだら次のステップに進みたい的な事は考えていました。

まぁそんなに上手く話が進まないから人生な訳でして…。

 

なんやかんや経験してる内にもうこの仕事を結構長く続けて居ます。

その間服は一切作って居ませんでした。

 

本気で勉強して居たとは一体なんだったのか。

四六時中服作りの事を考えて居られるくらいの自信があったにも関わらず、

今やる仕事に追われ、ストレスを溜めたりナイーブになったりあらゆる面で余裕が無くなった途端何一つ手をつけなくなりました。

 

十数年も間を空ければ凡ゆるものが失われていきます。

基本的な部分すらもう覚えて居ないだろう。

どんな道具が必要であったか覚えているかも怪しいもんです。

 

いろんな経験と関わりを経て、いつの間にか自分が本気で勉強して居た何かが、

やけに下らないモノに思えてきました。

それすら下らなく感じてしまった今となっては、「勿体無い」という言葉がすごく嫌いです。

 

気がつけばもうアラフォーのオッチャンになり、

世間でよく言う、自分の現実と向き合い受け入れることが凄く大事な状態になって居ました。

果たして私は諦めた希望や夢の数だけ大人になったのでしょうか。

 

私も今の仕事を始めてそこそこ長いので、「販売員の兄ちゃん」がジンワリと板に着き始めて居ます。

ただそもそも接客業自体不向きだと自分で思っています。

お会いしたことある方々からすると多分そんな印象は無いと仰るかもしれませんが、

実際に初めましての方とこんなにも自然にお話ができる様になったのは今の仕事を続けた事で得たスキルです。

 

「接客はナンパに近い」と最初らへんに教えられましたが、

私がそんな事をした事ある訳がありません。

 

どれくらい無いかと言うと、

私のブログを読んでくださって居る方なら薄々気がついて居るかと思いますが、

こんな感じの文章を書ける奴は大体ネット弁慶です。

またの呼び方を「独り言の天才」と言います。

そんな奴がナンパとかすると思いますか?

 

なのでこういう仕事を技術として体得するからのにかなりの時間を要しました。

が、特に得たものについて惜しいと思った事がありません。

惜しくも無いのに長く続けて来られたのは「お客さん」と関わってしまったからです。

一応言っておきますが好感度アップを図っている訳ではありません。

 

何度も自分の中で自分の事を「この程度だ」と思っても、

「私が都合を理解しているから都合良くお買い物ができるお客様」が確かに居た事で存在価値の様なモノを感じて居ました。

 

一度売り場を離れてしまった事でそう言った付き合いの方も少なくなった現状ですが、

 

何かの拍子に不意に目の前に現れる一個の「縁」に導かれて今に至ります。

 

ここで「"縁"が"円"になり"¥"になる」とか言って綺麗に締め括れたら商売人っぽくてカッコよかったんですけども、商売人っぽい言葉より駄文を書くのが癖である私は、リアルの世界でもやっぱり余計な一言を言ってしまう節があります。

 

余計な一言がその「まさか」となりました。

未だわからないですが多分「まさか」です。

 

何を思い上がったのかちょっと出しゃばった事を私が言ったが為に、

また一個の縁が目に前に転がり込んできたのです。

 

果たしてこの縁がちゃんとした仕事に繋がるのか、

半端もんの私が関わると半端になってしまうんじゃ無いか、

様々な不安と思惑が重なる中、行末は未だ不明です。

 

未だ単なる「野暮用ができた」みたいな話です。

 

まっすぐな線を引く。

ペンが走る音がする。

定規の数が足りない。

文鎮の存在忘れてた。

縫い代1.2cm。

パターン紙が地味に高い。

口に出す度思い出す。

少し感覚が目を覚ます。

 

14年ぶりに0.3mmのペンを握ってみた話です。

 

また夢中になれたら良いなと思います。

 

それではまた次のブログでお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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森井英之