「え、一緒やん?」と言われる奴ら | Cento trenta森井のブログ

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「白って200色あんねん!」なんて事を申しまして。

 

よくある話なんですが、

旦那さんのお買い物に文句を言いたい奥様のお話を良く伺います。

特に靴についてはお好きな方は何十足も持っていて、

断捨離して4、50足まで絞ったという話もよく聞きます。

 

だいたい奥様から言われる事と言えば「ムカデか。」とか、「同じの何足あんねん。」とかです。

お店でもVASSをお求め頂いたお客様にLa'szlo'をお薦めしたりすると、ご一緒にいらした奥様や彼女さんから「え、前のと一緒やん!」と言われるのはもはやお約束。

この一言が来たらよくありすぎて我々も笑うしかありません。

 

とは言え例え型や仕様や革がよく似ていても全く違うものだと言うことは我々も重々理解しています。

なので今回は、ハッキリ言って無駄だとわかっているのですがVASSとLa'szlo'のそっくりさんを並べて違いを示していこうと思います。

 

こんな事をした所で黒靴で一括りにされてしまうことは目に見えていますが、

私は元来無駄においては他の追随を許さない無駄行動に長けた今世紀最高の類稀なる逸材と謳われていますので実質無問題です。

例えばこの一文が無駄です。

 

 

 

 

 

 

では早速参ります。

まずは並べて横から見てみましょう。

右がLa'szlo'(ラズロ)、左がVASS(ヴァーシュ)です。

どちらもハンガリーはブダペストのオールハンドソーンウェルトの靴になります。

 

履き心地とか中身の話をしても良いのですが、

わかりやすさを重視して今回は主にディティールについてをお話ししていこうと思います。

 

どうですか?

こんな感じで二つ並べてみても何となく雰囲気が違うでしょう???

 

お分かりいただけただろうか。

分かりませんよね。

当然です。

つまりこの写真は無駄に終わりました。

 

それではもう少し細かい所を見ていきましょう。

 

 

 

 

 

近づけて並べてみました。

並びは先程と同じとします。

 

ご覧の通り革質が違う事は勿論なのですが、爪先の丸みが違ったり羽根の形がLa'szlo'の方がハの字だったりとこの時点で顔と顔面とフェイスが違います。

こう言ったディティールの違いは、VASSの様に整然と整っている揃えた作り方が謂わば「静」。

La'szlo'の様に少し傾けていたり少しずらしたディティールの付け方が謂わば「動」を表します。

 

こう言った違いは服にも有るのですが、必要以上にベーシックから少しブラした形というのは動き易さや着脱のし易さなど、何か動作をする上でそれをより快適にする為の細やかな施しで有る事が多いです。

こう言ったものがLa'szlo'のモデルには幾つも点在しています。

 

また逆にVASSの様に整えたディティールの作り方は、人が着用している状態で静止している姿が最も美しいフォルムになるようにする為の使用が多く、実際に着用して文字通り絵になる存在感というものを演出するデザインです。

 

こういう一面からでもVASSとLa'szlo'の違い、お分かりいただけただろうか。

分かりますか?

分かりますよね???

そうですね、分かりませんよね分かってました。

 

というわけでまた写真を一枚無駄にした所で次にいきましょう。

 

 

 

 

 

そのまま少し下にズレてみましょう。

並び方は先程と同じとします。

 

見て比べやすいところといえばつま先の上がり具合が露骨です。

少しLa'szlo'の方が上に反り上がっていますがこれは当然ながら歩く時のソールの返りの良さを引き立てています。

また、この様にジッとしていても靴その物の動く様を連想させる様な形状の作り方となっており、ただこれだけの違いでアクティブな雰囲気を感じさせます。

飾り穴の範囲が大きく取られていてよく目立ったり、張り出したウェルトの縁がギザギザとしているピッキング加工となっているところも、なにかと少しゴテゴテとさせているこの感じ。

飾りが多いというのはそれだけカジュアルな印象を強める要素で有るため、ドレッシーとはそういう意味では対極にあるものです。

 

対してVASSにおいては先のつま先の高さはむしろ地面に近く、動きというよりも立ち止まっている人を連想させる見た目となります。

こういう物は非常に安定感のようなものを感じさせる見た目を意識しており、シックな服装や落ち着いた男性像を彷彿とさせる要因にもなっています。

同じ様に飾り穴についてもコンパクトな範囲にまとめておりツルッとした表面も同じくらい目立たせる作りになっていたり、ウェルトも外に張り出しいていますが出来るだけ不要な部分をカットしていたり最低限のディティールで抑える作りをしています。

 

どちらも同じ様に「フルブローグ」と称される最も飾りが多くてカジュアルな靴というモデルになるのですが、同じフルブローグでもブランドによって重きを置く部分を尊重し、フルブローグらしくアクティブに、フルブローグなのにシックになる様な作りとなっています。

 

こうやって具体的なところを見比べてみると、最近で言うところのゴリマッチョと細マッチョの違い見たいなものがお分かりいただけただろうか。

 

わかりますka?..そうですね、分かりませんよね知ってました。

ぶっちゃけだからなんやねんって話ですよね。

 

というわけでまた一つ無駄な写真をあげたところで次行ってみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

次は横から見たものを見比べてみましょう。

並び方は先程と同じとします。

 

主にコバステッチの部分をご覧いただければと思います。

どちらもウェルトが外に張り出している状態のデザインですがこれらは総じて靴内部に水が侵入してくる事を防ぐために編み出された技術です。

見た目が違うのは編み出された時代や国、土地、ルーツが変わってくるからです。

何かしらの流派みたいな物だと思ってください。

 

La'szlo'の方ですが今回引き合いに出しているモデルがVienna(ヴィエナ)となっており、ちょうどこのノルウィージャン製法が最も重大な特徴とされている部分です。

2本の革紐と1本の麻紐を使って三つ編みをしながら縫い付ける、「弁髪縫い」と呼ばれる物を、ウェルトとアッパー、ウェルトとソールの計二箇所に各一周ずつ、合計二周施すためこの様にボリュームが大きくなっています。

非常に珍しく、そして非常に難しい作り込みであり、この派手さが機能面以上に装飾として好まれる事も多いです。

職人の技術としてもこれを伝承している地域が限られているうえ、解体した所で見様見真似ができる物でもないため、現在の所はこのLa'szlo'が正当な後継者となっています。

 

VASSの方はウェルトがヒール部分手前で切り替えられているデザインになっています。

同じ様に浸水を防ぐためというのもありますが主に補強をするという面を意識した作り込みとなります。

横の張り出しを抑えてスッキリ見せる様に縦の面を強く補強していたり、踵付近でウェルトを中にしまう事でボリュームが前後で緩急のついたスマートな見た目になります。

 

こんな性能付きのディティールでさえそれぞれによってベクトルが異なるという部分に感じる違いをお分かりいただけただろuka...わかりにくいですよねそうですね。

 

さてここで2枚の写真を改めて無駄に掲載したところで最後の写真です。

果たして次の写真で今度こそ分かりやすく違いを説明する事ができるのか!?

できませんでした!

 

 

 

 

もはや色々考えすぎてしまい何でこの写真を撮ったのか分からないままとりあえず載せておきます。

今のところ見た目からわかる話で言うと後ソールの作り方も話せなくはないのですが、ちょっともう脳みそ筋肉が動きません。

あとは私の言語能力が残念すぎるところもあって、そろそろ同じ話を連発しかねない状態になりましたのでここで切り上げておきます。

 

まぁ何と言うか、色々細かい解説の様な事をした気がしますが、

ぶっちゃけた話そんな事は物を作る人以外はあまりよく分かっていないのが普通です。

メチャクチャ沢山の種類の靴を履いている人や、めちゃくちゃ詳しいという人でも、ほとんどの場合「なんか違う」とか、「何となくこういうの」とかで理解していて、何故その形がそう言った事を連想するのかという事だったりは知らない方が多いのではないでしょうか?

しかしその研ぎ澄まされた感性一つでそれらを理解したり、特に何も知らない人にすら「なんか良いよね」と言わせるのがこう言った細部の積み重ねと集結による物である場合がほとんどです。

 

結局の所ところ奥様になんて説明すればその違いを理解して貰えるのかという事についてですが、

…うん、頑張ってください旦那さん。

 

それではまた次のブログでお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

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森井英之