《2024年8月3日》ー昔の哀しい恋 | aichanの双極性日記

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千歳・札幌の季節の風景とレザークラフトとアウトドア(特にフライフィッシング)。
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結婚前する前のずっと若いころ(40年くらい前)、婚約者のいる女性と付き合ったことがある。

 

彼女はその婚約者と高校生のころから付き合っていて、それから7年近くも経っていたのにまだ付き合っていて、ついに婚約した。

 

しかしその婚約者は就職して札幌から東京に行ってしまい、滅多に帰ってこなくなった。

 

そんなとき私と彼女は出逢った。

 

話が合うしお互い言いたいことが言えたし、私は急速に彼女に惹かれていった。

 

彼女も同じで、私に急速に接近してきた。

 

彼女は何でも割り勘という主義の持ち主で、何か食べてもどこかで遊んでも全部割り勘だった。

 

それまでの私は女性に金を払わせることなどなかったので最初は戸惑った。

 

しかし、数度会っただけで違和感はなくなった。

 

彼女と会って話すことも何かすることも実に楽しかった。

 

ある夜、私たちは札幌のススキノで飲んでいた。

 

ふぐ料理を食べ、ショットバーへ行ってかなり飲んだ。

 

ススキノのはずれまでふたりで歩いていたとき、ホテル街が見えてきた。

 

「あいちゃん(私のあだ名)ならいいよ…」と彼女は小さな声で言った。

 

すぐ目の前にラブホテルの看板が輝いていた。

 

私はしばし逡巡したが、しかし酔っていたせいもあって彼女をホテルの中に誘い入れた。

 

彼女に婚約者がいるのは十分知っていたし、それでしばし逡巡したのだが、ふたりの仲はただ話したりどこかに行って遊ぶだけではもう制御できなくなっていた。

 

肉体関係を持つのが当然のような気持ちにまでふたりとも気持ちが高まっていたのだ。

 

こうして私たちふたりは結ばれた。

 

罪悪感は当然あった。

 

彼女に婚約破棄させて逃げようとさえ思った。

 

そして2ヵ月ほど経ったとき、「妊娠した」と彼女に言われた。

 

「バチが当たったのかも…」と彼女はつぶやいた。

 

私はいよいよ彼女を連れて逃げなくてはならないかと思った。

 

けれど彼女は堕胎することを選んだ。

 

その日、私は彼女をクルマに乗せて産婦人科まで行った。

 

彼女はずっと黙っていた。

 

受付で「堕胎を予約した者です」と彼女が告げると、すぐ料金を請求された。

 

「10万円です」と受付嬢に言われて私は驚いた。

 

6万円くらいかなと予想していたからだ。

 

しかし、ちょうど10万円持っていたので無事払った。

 

彼女が払おうとしたが私は強くさえぎり私が払った。

 

いつも割り勘だったのに、このときだけは私が全額払った。

 

私の責任が明らかだったからだ。

 

堕胎した次の日、私は飲み屋に彼女を誘った。

 

彼女は最初から激しく泣いた。

 

いつまでも泣きやまないので、店員や客たちが私たちをじろじろと興味深げに見た。

 

深夜、私は彼女をタクシーで家まで送った。

 

家の前で彼女を下ろし、一度私はタクシーから出て彼女と向かい合った。

 

彼女は絞り出すような声で言った。

 

「わたしと逃げて!」

 

私は少し間をおいてから「できない」と答えた。

 

彼女を連れて逃げることはずっと以前から考えていたことだが、いざ彼女に「わたしと逃げて」と言われて私の理性がはたらいてしまったのだ。

 

私の反応を見て彼女は寂しそうに玄関に向かった。

 

その後ろ姿が今でも忘れられない。

 

そうして私たちは別れた。

 

彼女は予定通り、婚約者と結婚した。

 

幸せにやっているだろうかと、よく考える。

 

 

【ダイエト記録】目標達成体重より1.0キロ増えた。