本格的な釣りの季節になってきた。
今の私のメインフィールドは千歳川だ。
千歳川は支笏湖を水源として千歳市内を流れ石狩川に注ぐ。
水源が支笏湖であり、また湧水も多いことから、渓流に多い雪代(雪解け水)がない。
普通の渓流なら今時分は雪代で水量が爆上がりしていて釣りにならないが、千歳川はそんなことにはならない。
だから、今の季節でも普通に釣りを楽しめる。
さて、ウェーダーと言っても釣りをしない人には何のことかわからないだろう。
昔でいう胴長である。
川や湖や海の岸辺から水の中に入って釣りをするとき履くアレである。
昔の胴長はゴム引きの厚い生地で作られていたが、次第に薄い生地で作られるようになり、近年は外からの水ははじくが内部の汗は外に通すというゴアテックス等の新素材ができて、胴長と言うよりウェーダーと言うほうが適するような外見になった。
〈私のウェーダー/ゴアテックス性〉
昔のゴム引きの胴長と比べると格段に軽いし柔軟な動きができる。
軽快で柔軟な動きができるのは、素材が軽く、しかも脚の太さより大きいので(ブカブカであることが多い)、脚の屈伸などが容易にできるからだ。
特に、足元が潜水で使うドライスーツ素材を使ったソックス式のウェーダーを履いてウェーディングシューズを履くと、普通の靴を履いているように、例えば渓流の遡行などではとても快適である。
〈私のウェーダーもソックス式で、ウェーダーを履いたらウェーディングシューズを履く〉
先ごろ、ウェーディングシューズのフェルト底がはがれ、その後はフィッシングブーツを履いて釣りに行っていたが、フェルト底が乾いたので接着剤で張り合わせた。
それからはウェーダーをまた履いて釣りに行っている。
ところで、この軽くて薄い素材のウェーダーとウェーディングシューズの登場により、ひとつの危険が増した。
今式のウェーダーを履くと脚とウェーダーの間に多くの空気が入る。
ウェストハイ(腰までしかないウェーダー)であれチェストハイ(胸まであるウェーダー)であれ、腰をベルトで締める。
すると内部に空気でたまる。
これが問題なのだ。
2年くらい前だったか、私は札幌の釣り仲間とともに3人で北海道尻別川上流に釣行した。
チェストハイのウェーダーを履き、ウェーディングシューズを履いた。
入ったポイントは岸からいきなりドン深の渓流で、深さは胸くらいまであると見た。
「ここからは入渓できないな」と思った私は岸辺に沿って歩いて浅い岸を探した。
そのとき、足を滑らせてドボンッと流れに頭から落ちた。
深さが胸までだから立つことができるはずだったが、それができなかった。
頭から流れに突っ込んだのでまず逆さまになった。
すると、そのまま足が上を向いたままで足を下げられない。
どうしてそうなるのか理解できなかった。
私の頭は流れの底あたりまで垂れ、足は流れから突き出していた。
息苦しくなった私は焦って両手で水を掻いて水中で体をどうにか半回転させて顔を水中から突き出すことに成功した。
そこで大きく息を吸った瞬間、脚が持ち上げられて頭はまた水中に没し、足先がまた流れの上に出た。
慌ててまた両手で水を掻いて水中から顔を出して息を吸う。
しかし、すぐまた脚が持ち上がって逆さまになる。
また量で水を掻く…。
そなんなことを3回か4回繰り返したら、大量の水を飲んだし、力尽きてきて「もうダメだ」と思った。
ここで死ぬのも悪くないとあきらめていた。
亡くなった愛犬アイルのもとに行けると思った。
そのとき、私の左手の手首を誰かがギュッと握った。
同行した釣り仲間が浅瀬から流れに入って私のところまで来て助けてくれたのだ。
彼は私の命の恩人である。
手首を引っ張られてようやく川底に立つと、水深はやはり胸のところまでしかなかった。
それから岸辺に這い上がり、ようやく岸に立って難を免れた。
どうしてそんなことになったのか?
ウェーダーの中に空気がたまっていてウェーダーが浮き袋になってしまっていたのだ。
立とうとしてもできなかったのは、浮袋と化したウェーダーが浮いて脚を持ち上げていたからだ。
そのことに気づいたら、すぐウェーダーを脱ぐべきだ。
しかし、ソックス式でウェーディングシューズを履いていた私の場合、そのことに気づいてもまずウェーディングシューズの紐外しから始めなければならず、ウェーダーを脱ぐことは不可能だったろう。
ウェーダーを履いて水深のあるところで釣りをする方、どうかこのことをよく覚えておいてほしい。
ちょっと足を滑らせて脚が上に浮いたら危険である。
特にウェーディングシューズを履いている方は注意してほしい。
【ダイエット記録】0.3キロ減った。あと-4.0キロだ。