30数年前、34歳で元妻と結婚して間もなく、私たちはゲーセンに行った。
元妻はまっしぐらにテトリスのゲーム機の前に座った。
見ていると、すぐゲームを始め、それが素早い。
テトレスを続けていくとピースの落ちてくるスピードがだんだん速くなってくる。
それでも元妻は難なくピースを回転させたり左右に動かしては、落とすべきところにピースを落としていった。
しばらく後ろから見守っていたが、元妻のゲームは終わらない。
どんどん先に進むのだ。
ついには、そのゲーム機のそれまでの最高得点（確か数万数千点だった）を上回った。
それでも元妻はテトリスを続け、驚くべき点数を上げた。
私は元妻が恐ろしくなった。
こいつはテトリスのゲーム大会に出ても優勝するのではないか、とそう思った。
その後、家庭にゲーム機が当然のように登場すると、それでも元妻はテトリスで信じられないくらいの成績を上げた。
そのころ元妻は24歳だった。
高校から社会人になるまでの間に、よほどゲーセンに通っていたんだなと思うしかなかった。
その後、テトリスのうまい人に何人か出会ったが、元妻に及ぶような人はいなかった。
あれは元妻が身につけた数少ない突出した特技だったと思う。
【ダイエット記録】0.2キロ減った。あと-0.8キロだ。