リカバリー 2 | しなやか自律神経へ コロナ後遺症・感染症後ME/CFS

しなやか自律神経へ コロナ後遺症・感染症後ME/CFS

2021年6月、当時高1息子が感染症後CFS発症→現在リカバリー中。
第28回精神保健福祉士国家試験受験のため通信制で学習中。

『世に棲む患者』中井久夫著 は感動的でした。

前回の記事で、統合失調症とCFSがオーバーラップする点について書きましたが、この著書のP.63〜に書かれている、患者への助言10項目がものすごく役に立ちました。

 

慢性疾患を持った全ての人に共通するのかもしれないですが、特に脳の機能障害(統合失調症もCFSも、脳の炎症らしいという点で共通しているっぽいので)の特徴が重なるんだと思います。

 

全てはご紹介できないので、ぜひ本をお読みください。

 

特に心に留めたいと思った心構えとしては、以下の項目です(引用は緑字部分)。

 

1 条件の整っていない患者を性急に働くよう促さないこと。そんなことはただ屈辱感しか与えない。その条件とは第一に、急性精神病後の「基本消耗」からの回復であり、第二に、患者が疲労感をはじめとする身体感覚、余裕感や焦燥感、快不快をはじめとする一般感覚を安心して意識にのぼらせうることであり、第三に、「基地」と「前哨点」を持つ生活基盤がすでに生まれていること、である。

 

↑ これ、「働く」はそのまま「登校する」「受験する」だと思うし、「急性精神病後」というのは「OD・CFS発症後」だと思えます。発症直後は絶対安静、これホントそう。

 

次に、疲れたら疲れた自分を感じられるようになること(息子は最近マインドフルネスをやって、身体感覚をつかめるようになってきたそうです)。

 

それから、安全基地である家庭環境(安心して休める家庭)と「まずは明日ちょっと外出しよう」「週1の短時間でバイトやってみるか」みたいな前段階を試せること、だね。

ほんとそう、ほんとそう。

 

2 その上に経って、なお、患者に背水の陣を敷くよう脅かさないことである。「君はこれが最期のチャンスだ」「もう何回も職を変えていて長続きしない。社会の信用もなくなるよ(われわれも見放すよ)」などと付言することは、挫折へと患者を促しているようなものである。

つねに就職の「実験的性格」を患者にも家族にも強調し、家族の前で「合わぬと感じたらすぐやめてよい」「それで実験のデータが一つ得られた。実験は成功です」と言うのが習わしである。

 

↑なるほど!「大学出てないと将来が」なんて禁句だね。

息子がこれから大学受験に向かおうとしたら「実験するつもりでね〜」とかって言うのが良いかも〜。このマインドでいたらPEMっても「実験は成功ってことよ」と言えそうだわ。

 

3 患者の選んだ職ほど結局成功率が高い

 

↑そうよね、息子の進路は息子が完全決定するよう、私は影響を与えすぎないよう気をつけよう。

 

あと「この後どうするつもり?これから仕事(進学)どうしたいと考えてるの?(もうちょっと考えたら?もう少し頑張れるんじゃない?という含みをもって)」と言うことは本人を追い込むもので、言語道断だそうです。崖から突き落とすレベルらしい。

私は息子が発症し、さらにクラッシュするまでの1年間、このスタンスが抜けなかったです・・・。

クラッシュしたことで私の何かが変わったかも。

 

4 働きたがる患者には、むしろ冷水をかけるくらいがよい

 

5 休息の方を重視すること

 

6 患者は休息をきめ細かに取りにくい傾向がある

 

7 「気ばたらき」(気遣い、察して動く)を強いられる職場はできるだけ避ける。

  残業が必要な職場は避ける。

 

まだ続いて10まであります。

 

さらにその後に、患者本人に手渡す10項目も書かれていて、それらも本当に参考になります。特に、項目6の「二日睡眠不足がつづき、三日目に頭が冴えてきて「今までの自分は半分寝ていたようなものだ、今こそほんとうの自分がついに生まれた」と思ったら、それは残念ながら行き止まりの途に入りかけたので、すぐ来て欲しい」という記述!圧巻!

コレコレ、コレよ。息子はこれになりやすい。

 

その他も心に置いておかねば!と思う含蓄のある記述のオンパレードで、メモ帳が記録でいっぱいになっています。

 

著者は、患者の社会復帰について心底寄り添ってくれていたんだなぁということが伝わり感動しました。こんな医者もいる(いた)のねぇ・・・。

 

このように「一定の回復後も特性として持ち越すであろうテーマ」を知り、対策法を言語化して自分の頭の中に入れておくことで、私は息子の家族としてより良い対応ができそう・・・そんな希望になったし、自分自身も楽になりました。