【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳 -9ページ目

源氏物語イラスト訳【紅葉賀180】中将の策略

中将、をかしきを念じて、引きたてまつる屏風のもとに寄りて、ごほごほとたたみ寄せて、おどろおどろしく騒がすに、

 

【これまでのあらすじ】

桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。

光源氏18歳冬。藤壺宮は、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は、年増にして色好みの源典侍(げんのないしのすけ)にちょっかいを出したのを義兄の頭中将に知られてしまいました。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

中将をかしき念じ

訳)頭中将は、おかしさ我慢し

 

 

引きたてまつる屏風もと寄り

訳)引き申し上げ屏風近寄っ

 

 

ごほごほたたみ寄せて、

訳)ばたばた畳み寄せて、

 

 

おどろおどろしく騒がす

訳)仰々しく動揺させるのだが

 

 

【古文】

中将をかしき念じ引きたてまつる屏風もと寄りごほごほたたみ寄せて、おどろおどろしく騒がす

 

【訳】

頭中将は、おかしさ我慢し、お引き申し上げ屏風近寄っばたばた畳み寄せて、仰々しく動揺させるのだが

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【中将】…頭中将。光源氏の義兄

■【をかしき】…シク活用形容詞「をかし」連体形

※【をかし】…おかしい。滑稽だ

■【を】…対象の格助詞

■【念じ】…サ変動詞「ねんず」連用形

※【念ず】…我慢する

■【て】…単純接続の接続助詞

■【引く】…屏風を引いて見えないようにする意

■【たてまつる】…謙譲の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【屏風(びやうぶ)】…室内に立て、装飾を兼ねて風を防ぎ、仕切りとする家具

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【もと】…そば。ところ

■【に】…場所の格助詞

■【寄る】…近寄る

■【て】…単純接続の接続助詞

■【ごほごほと】…ゴロゴロと。ゴトゴトと。鳴り響く音を表す語

■【たたみ寄す】…(屏風を)畳んで(脇に)寄せる

■【て】…単純接続の接続助詞

■【おどろおどろしく】…シク活用形容詞「おどろおどろし」連用形

※【おどろおどろし】…仰々しい

■【騒がす】…大騒ぎさせる。動揺させる

■【に】…単純接続の接続助詞

 

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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

頭中将は、光源氏のライバル的存在です。

光源氏源典侍のアバンチュールの場面に忍び込み、現場を押さえて光源氏の鼻を折ってやろうという算段。

 

笑いたいのをぐっとこらえている頭中将の姿が、思い浮かばれますよね。

 

 

「引きたてまつる屛風」という記述は、

いくつかの『源氏物語』の異本でも、異なっていて、

さまざまな解釈がされています。

 

おそらく、直前からの文脈によると、

「光源氏が引いた屛風」

という内容なのでしょうが、

 

「たてまつる」という敬語は、

補助動詞で用いられると、必ず謙譲語になってしまい、源氏物語の法則からすると、謙譲語のみを用いている、その主体が光源氏なんて、ありえないことなんです。

(※詳しくは、下に掲載したYouTubeをご参照ください)

 

 

なので、大島本以外は、

「引きたてたまへる」

となっています。

 

 

まあ、そうしてもいいのですが、

わたしは、この直後に「内侍は~」と続きますので、

「引きたてまつる」のままをとり、

内侍(源典侍)が、屛風のうしろに下がった光源氏を隠そうと、その屏風を引いた

という設定にしました。

 

 

この方が、次の視点人物となる内侍(源典侍)の心情の動揺にも、うまくシフトしていきますからね!

 

 

 

 

 

YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。

日々の古文速読トレーニングにお役立てください。

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