源氏物語イラスト訳【紅葉賀181】ねびたれど
内侍は、ねびたれど、いたくよしばみなよびたる人の、先々もかやうにて、心動かす折々ありければ、
【これまでのあらすじ】
桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。
光源氏18歳冬。藤壺宮は、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は、年増にして色好みの源典侍(げんのないしのすけ)にちょっかいを出したのを、義兄の頭中将に気づかれ、密会中に乗り込まれてしまいます。
源氏物語イラスト訳
内侍は、ねびたれど、
訳)源典侍は、年を取っているが、
いたくよしばみなよびたる人の、
訳)ひどく気取ってなよなよとしている女のようで、
先々もかやうにて、心動かす折々ありければ、
訳)以前にもこのようにして、動揺する折々があったので、
【古文】
内侍は、ねびたれど、いたくよしばみなよびたる人の、先々もかやうにて、心動かす折々ありければ、
【訳】
源典侍は、年を取っているが、ひどく気取ってなよなよとしている女のようで、以前にもこのようにして、動揺する折々があったので、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【内侍(ないし)】…律令制における後宮の内侍司(ないしのつかさ)の女官。尚侍(ないしのかみ)、典侍(ないしのすけ)、掌侍(ないしのじょう)のことをいう。ここでは、源典侍(げんのないしのすけ)をさす。
■【ねび】…バ行上二段動詞「ねぶ」連用形
※【ねぶ】…老いる。ふける
■【たれ】…完了の助動詞「たり」已然形
■【ど】…逆接の接続助詞
■【いたく】…ひどく
■【よしばむ】…由緒ありげにする。趣がありそうにする。気取る
■【なよび】…バ行上二段動詞「なよぶ」連用形
※【なよぶ】…なよなよとする。ものやわらかに振る舞う
■【たる】…完了(存続)の助動詞「たり」連体形
■【人】…ここでは、源典侍のこと
■【の】…連用修飾格の格助詞
■【先々】…以前
■【も】…列挙の係助詞
■【かやうに】…このように
■【て】…単純接続の接続助詞
■【心動かす】…動揺する。肝を冷やす
■【折々】…その時々
■【あり】…ラ変動詞「あり」連用形
■【けれ】…過去の助動詞「けり」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。
>>次へ