源氏物語イラスト訳【紅葉賀173】頭中将は | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【紅葉賀173】頭中将は

頭中将は、この君のいたうまめだち過ぐして、常にもどきたまふがねたきを、つれなくてうちうち忍びたまふかたがた多かめるを、

 

【これまでのあらすじ】

桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。

光源氏18歳冬。藤壺宮は、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は宮中の女官に手を出すこともなかったのですが、年増の源典侍(げんのないしのすけ)には少し興味を持って、ちょっかいを出しています。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

頭中将この君いたうまめだち過ぐし

訳)頭中将この源氏の君非常に真面目過ぎて

 

 

常にもどきたまふねたき

訳)いつも非難なさる癪にさわるので

 

 

つれなくうちうち忍びたまふかたがた多かめる

訳)平然と内々に人目を忍んで通いなさる所があちこち多くあるようなのを

 

 

 

【古文】

頭中将この君いたうまめだち過ぐし常にもどきたまふねたきつれなくうちうち忍びたまふかたがた多かめる

 

【訳】

頭中将この源氏の君非常に真面目過ぎていつも非難なさる癪にさわるので平然と内々に人目を忍んで通いなさる所があちこち多くあるようなのを

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【頭中将(とうのちゅうじょう)】…源氏の義兄。葵の上の兄

■【は】…取り立ての係助詞

■【この君】…源氏の君

■【の】…主格の格助詞

■【いたう】…ク活用形容詞「いたし」連用形ウ音便

※【いたし】…はなはだしい

■【過ぐす】…やり過ぎる。度が過ぎる

■【て】…単純接続の接続助詞

■【常に】…いつも

■【もどき】…カ行四段動詞「もどく」連用形

※【もどく】…非難する

■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【が】…主格の格助詞

■【ねたき】…ク活用形容詞「妬し」連体形

■【ねたし】…癪にさわる

■【を】…順接の接続助詞

■【つれなく】…ク活用形容詞「つれなし」連用形

※【つれなし】…平然としている

■【て】…単純接続の接続助詞

■【うちうち】…ひそかに。ないないに

■【忍ぶ】…人目を忍んで通う

■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【かたがた】…所々。あちらこちらの方々

■【多か】…ク活用形容詞「多し」連体形撥音便無表記

■【める】…推定の助動詞「めり」連体形

■【を】…対象の格助詞

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

古文単語というのは、英単語のように、

覚えたら使える

ってもんではありません。

 

 

いくつもの意味を持ち合わせた多義語が多く、

文脈によって、どの意味になるかは、

1回かぎりの、その文脈の特殊性によるので、

マニュアル通りにいくとも限りません。

 

じゃあ、文脈を考えようと思っても、

他の古語も多義語となる場合も多く、

文脈の意味すら判然としない…

 

無限ループ

 

に陥ってしまう。。。

 

 

で、多くの受験生の人たちは、そこでサジを投げて、

 

古文の勉強って、

何の意味があるの!?

 

と、逃げ口上にはしってしまうんですよね。

 

 

 

これは、古語を、英語と同じように、

たんに覚えるもの

という視点で勉強しているのが、大きな敗因だと、

わたしは思います。

 

たしかに、今つかってる用語でない以上、

「覚える」という作業は、少なからず必要になってきます。

 

でもね。

古文単語は、

元は日本語なんですよ

 

 

 

昔、ブームでよく使って、現在では死語になって使わない言葉って、よくありますよね。

 

 

映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」で、

主人公のマーティが、“heavy”って言葉を使う場面が何度か出てきます。

これは、1980年代、当時のアメリカでは、

「すごい・すばらしい」とか、「深刻だ・重大だ」といった意味で使っていた、俗語です。

今でいう、「ヤバい」みたいな言葉ですね。

でも、この言葉は、1955年にタイムスリップした先では、通じないんです。

 

過去のドク博士は、「heavy=重たい」という文字どおりの意味にしか解釈できず、お互いの話がかみ合わない、という、アメリカン・ジョークが面白かったですよね。

 

 

今回出てきた「つれなし」も、

現代の「つれないな人だなあ」という意味で用いることは、多々あります。

 

けれども、「つれない」ということは、

 

という意味でもあるし、

 

 

という意味でもあるし、

 

という意味でもあるんです。

 

 

古語は、まず語源で理解して、

いろんな状況を経て、現在の意味につながっている

 

この意識をもって、古語に接していくと、

どういう視点で勉強すればいいか、

ちょっと見えてくるんじゃないかなと思います。

 

 

 

 

 

YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。

日々の古文速読トレーニングにお役立てください。

おねがい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>>次へ