源氏物語イラスト訳【紅葉賀142】まことに
まことには乱れたまはぬを、「まめやかにさうざうし」と思ひきこゆる人もあり。
【これまでのあらすじ】
桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。
光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は罪悪感に苛まれながらも、左大臣邸にも行かず、二条院で紫の君と過ごすことが多く、父帝から怒られています。
源氏物語イラスト訳
まことには乱れたまはぬを、
訳)本気では取り乱しなさらないのを、
「まめやかにさうざうし」
訳)「真面目ぶってもの足りない」
と思ひきこゆる人もあり。
訳)と、お思い申し上げる女房もいる。
【古文】
まことには乱れたまはぬを、「まめやかにさうざうし」と思ひきこゆる人もあり。
【訳】
本気では取り乱しなさらないのを、「真面目ぶってもの足りない」と、お思い申し上げる女房もいる。
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■【まこと】…誠実。誠意。真心
■【に】…状態の格助詞
■【は】…取り立ての係助詞
■【乱れ】…ラ行下二段動詞「みだる」連用形
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【まめやかに】…ナリ活用形容動詞「まめやかなり」連用形
※【まめやかなり】…真面目だ
■【さうざうし】…もの足りない
■【と】…引用の格助詞
■【思ひ】…ハ行四段動詞「おもふ」連用形
■【きこゆる】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連体形
※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【人】…ここでは、女房の意
■【あり】…ラ変動詞「あり」終止形
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まことには乱れたまはぬを、「まめやかにさうざうし」と思ひきこゆる人もあり。
【問】 傍線部の心情説明として最も適当なものを選べ。
1.源氏が女官に懸想せず好色を示さないことに対して、女官たちはもの足りなく思っていた
2.源氏が女官の暴言にも心を乱したりしないので、女官たちは悔しく思っていた
3.源氏が女官から口説かれても相手にしないことに、彼女たちはつらく思っていた
4.源氏が女官を口説いても正式に付き合ってくれないので、彼女たちはやかましく抗議していた
5.源氏から言い寄られた女官が口うるさいので、源氏は真面目に怒っていた
傍線部の心情や状況の説明問題は、
まず、傍線部の解釈を優先しましょう。
今回の傍線部分には、2つの重要古語が入ってますね。
【まめやかなり】
【さうざうし】
どちらも、現代にはあまり使われない、
覚えるべき重要古語です。
しっかりイメージを持たせたうえで、
傍線部の状況を確認してみましょう。
※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。
答え…【1】