源氏物語イラスト訳【紅葉賀134】内裏わたり | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【紅葉賀134】内裏わたり

「内裏わたりなどにて、はかなく見たまひけむ人を、ものめかしたまひて、人やとがめむと隠したまふななり。心なげにいはけて聞こゆるは」
など、さぶらふ人びとも聞こえあへり。

 

【これまでのあらすじ】

桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。

光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。源氏は罪悪感に苛まれながらも、左大臣邸にも行かず、二条院で紫の君と過ごしています。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

内裏わたりなどにてはかなく見たまひけむを、

訳)宮中辺りなどちょっと見初めなさったようなを、

 

 

ものめかしたまひて、

訳)大事に取り扱いなさって、

 

 

とがめ隠したまふなり

訳)世間の人咎めるだろう 隠しなさっているのであるようだ

 

 

心なげにいはけ聞こゆる

訳)分別がなく幼稚な人だと噂されている

 

 

などさぶらふ人びと聞こえあへ

訳)などとお仕えする女房たち噂し合っていた

 

 

【古文】

内裏わたりなどにてはかなく見たまひけむを、ものめかしたまひて、とがめ隠したまふなり心なげにいはけ聞こゆる
などさぶらふ人びと聞こえあへ

 

【訳】

宮中辺りなどちょっと見初めなさったようなを、大事に取り扱いなさって、世間の人咎めるだろう 隠しなさっているのであるようだ分別がなく幼稚な人だと噂されている

などとお仕えする女房たち申し合っていた

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【内裏(うち)】…宮中

■【わたり】…あたり

■【など】…例示の副助詞

■【にて】…場所の格助詞

■【はかなく】…ク活用形容詞「はかなし」連用形

※【はかなし】…ちょっとしたことだ。何ということもない

■【見たまふ】…ご覧になる。見初めなさる

※【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形

※【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(女房⇒光源氏)

■【けむ】…過去の婉曲の助動詞「けむ」連体形

■【人】…ここでは、女人の意

■【を】…対象の格助詞

■【ものめかし】…サ行四段動詞「ものめかす」連用形

※【ものめかす】…ひとかどのものとして取り扱う。重んずる

■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(女房⇒光源氏)

■【て】…単純接続の接続助詞

■【人】…ここでは、世間の人々

■【や】…疑問の係助詞(結び;「む」)

■【とがめ】…マ行下二段動詞「咎む」未然形

※【咎(とが)む】…とがめる。非難する

■【む】…推量の助動詞「む」連体形

■【と】…~と思って目的の格助詞

■【隠し】…サ行四段動詞「かくす」連用形

■【たまふ】…尊敬の補助動詞(女房⇒光源氏)

■【な】…断定の助動詞「なり」連体形撥音便の無表記

■【なり】…推定の助動詞「なり」終止形

■【心なげに】…ナリ活用形容動詞「心なげなり」連用形

※【こころなげなり】…分別がない

■【いはけ】…カ行下二段動詞「いはく」連用形

※【いはく(幼く)】…子どもっぽい行動をする

■【て】…単純接続の接続助詞

■【聞こゆる】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連体形

※【きこゆ】…噂される

■【は】…詠嘆の係助詞(文末用法)

■【など】…引用の副助詞

■【さぶらふ】…「仕ふ」の謙譲語(作者⇒葵の上)

■【人びと】…女房達

■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形

※【きこゆ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒葵の上)

■【合へ】…ハ行四段動詞「合ふ」已然形

■【り】…完了(存続)の助動詞「り」終止形

 

重要古語一覧はこちら

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「内裏わたりなどにて、はかなく見たまひけむ人を、ものめかしたまひて、人やとがめむと隠したまふななり。心なげにいはけて聞こゆるは
など、さぶらふ人びとも聞こえあへり。

 

】 傍線部の説明として最も適当なものを選べ。

 

.紫の君が無分別で子どもっぽく噂されている。

 

.紫の君が風流心がなくどうしようもないと感じられる。

 

.紫の君が性格が悪く良い評判が聞こえてこない。

 

.紫の君が意地が悪く無教養であると聞こえてくる。

 

.紫の君が美しくなく源氏の悪評を吹聴している。

 

 

傍線部の意味や説明が問われたときは、

まず、傍線部自体の重要古語や文法に着目します。

 

 

「心なげに」は、形容動詞「心なげなり」の連用形。

ちなみに、「こころなげなり」は、辞書に載っていません;

滝汗滝汗滝汗

 

「心無し(こころなし)」という形容詞が頭に浮かんだら、連想できると思います。

 

⑴ 無情だ。思いやりがない

⑵ 情趣がわからない。風流心がない

⑶ 物の道理がわからない。無分別だ

 

 

また、「いはけ」も、見たことがない人も多いと思います。これも、単語帳を見ても、載っていません;

笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

これは、「いはけなし」(=幼い)という重要古語の動詞化したものです。

 

 

このように、古文では、重要古語の形容詞動詞化したり形容動詞化したりする場合が、よくあります。

 

 

こういうのは、1つひとつ覚えるのではなく、

関連づけてまとめて理解していくことが大事!

 

 

 

 

 

 

 

※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!

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