大学入学共通テスト 古文・漢文 実戦対策問題集
Amazon(アマゾン)
さすがに恥づかしうて、ともかくもいらへきこえたまはず。やがて御膝に寄りかかりて、寝入りたまひぬれば、
【これまでのあらすじ】
桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。
光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。四月になり、藤壺宮と御子が宮中に戻りました。源氏は罪悪感に苛まれながらも、紫の君のいる二条院で時を過ごしています。
さすがに恥づかしうて、ともかくもいらへきこえたまはず。
訳)そうは言うもののやはり恥じらって、何ともお返事申し上げなさらない。
やがて御膝に寄りかかりて、
訳)すぐにそのまま源氏のお膝に寄りかかって、
寝入りたまひぬれば、
訳)寝入っ てしまいなさったので、
【古文】
さすがに恥づかしうて、ともかくもいらへきこえたまはず。やがて御膝に寄りかかりて、寝入りたまひぬれば、
【訳】
そうは言うもののやはり恥じらって、何ともお返事申し上げなさらない。すぐにそのまま源氏のお膝に寄りかかって、寝入っ てしまいなさったので、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【さすがに】…そうは言うもののやはり
■【恥づかしう】…シク活用形容詞「恥づかし」連用形ウ音便
■【て】…単純接続の接続助詞
■【ともかくも】…何とも
■【いらへ】…ハ行下二段動詞「いらふ」連用形
※【いらふ】…返事する
■【きこえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形
※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒源氏)
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒紫の君)
■【ず】…打消の助動詞「ず」終止形
■【やがて】…すぐに、そのまま
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒紫の君)
■【ぬれ】…完了の助動詞「ぬ」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
さすがに恥づかしうて、ともかくもいらへきこえたまはず。やがて御膝に寄りかかりて、寝入りたまひぬれば、
【問】 傍線部の文法説明として最も適当なものを選べ。
1.「いらへ」は、ハ行下一段活用の動詞で、「返事する」の意味である。
2.「きこえ」は、謙譲の動詞で、紫の君に対する敬意表現である。
3.「たまは」は、謙譲の補助動詞で、源氏に対する敬意表現である。
4.「きこえ」は、尊敬の補助動詞で、紫の君に対する敬意表現である。
5.「たまは」は、尊敬の補助動詞で、紫の君に対する敬意表現である。
大学入学共通テストでは、このような敬語関連の文法事項も多く出題されます。
敬語は、まず、覚えるべき丸暗記敬語はきちんと覚えたうえで、次の5つの敬語の種類は文脈判断していきます。
今回は、「たまふ」が敬語識別を要しますが、
「たまは」と、明らかに四段活用なので、
尊敬語とわかりますね。
誰から誰に対する敬意表現か、は、
⑴ 「誰から」⇒地の文か会話文か
⑵ 「誰に対する」⇒尊敬・謙譲・丁寧
という二段階で、識別していきましょう!
何事も、トレーニングが大切です。
出てきたときに、確認するクセをつけていきましょう!
※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。