源氏物語イラスト訳【紅葉賀116】端の方に | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【紅葉賀116】端の方に

端の方についゐて、
「こちや」
とのたまへど、おどろかず、
「入りぬる磯の」
と口ずさみて、口おほひしたまへるさま、いみじうされてうつくし。

 

【これまでのあらすじ】

桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。

光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。四月になり、藤壺宮と御子が宮中に戻り、源氏と藤壺は罪悪感に苛まれながら時を過ごしています。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

端の方ついゐ

訳)縁側の方すっと座っ

 

 

こちやのたまへ

訳)こちらへおっしゃるけれど

 

 

おどろか入りぬる口ずさみ

訳)気づかないふりをして、「あなたは潮が満ちると隠れてしまう磯の草のようで…」口ずさん

 

 

口おほひたまへさまいみじうされうつくし

訳)口を覆っていらっしゃる様子は、たいそう色気があってかわいらしい

 

【古文】

端の方ついゐ
こちや
のたまへおどろか
入りぬる
口ずさみ口おほひたまへさまいみじうされうつくし

 

【訳】

縁側の方ちょこんと座っ

こちらへ

おっしゃるけれど気づかないふりをして、

「あなたは潮が満ちると隠れてしまう磯の草のようで…」

口ずさん口を覆っていらっしゃる様子は、たいそう色気があってかわいらしい

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【端の方(はしのかた)】…縁側の方

■【に】…場所の格助詞

■【ついゐ】…ワ行上一段動詞「ついゐる」連用形

※【ついゐる】…ちょこんと座る

■【て】…単純接続の接続助詞

■【こちや】…こちらへ来なさい

※【こち】…こちら

■【や】…詠嘆の間投助詞

■【と】…引用の格助詞

■【のたまへ】…ハ行四段動詞「のたまふ」已然形

※【のたまふ】…「言ふ」の尊敬語(作者⇒光源氏)

■【ど】…逆接の接続助詞

■【おどろく】…はっと気づく

■【ず】…打消の助動詞「ず」連用形

■【入り】…ラ行四段動詞「入る」連用形

■【ぬる】…完了の助動詞「ぬ」連体形

■【の】…比喩の格助詞

■【と】…引用の格助詞

■【口ずさみ】…マ行四段動詞「くちずさむ」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【口おほひ】…口を覆うこと

■【し】…サ変動詞「す」連用形

■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【る】…完了(存続)の助動詞「り」連体形

■【さま】…ようす

■【いみじう】…シク活用形容詞「をかし」連体形ウ音便

■【され】…ラ行下二段動詞「戯(さ)る」連用形

※【戯(さ)る】…色気がある

■【て】…単純接続の接続助詞

■【うつくし】…かわいらしい

 

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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

端の方についゐて、
「こちや」
とのたまへど、おどろかず、
入りぬる磯の
と口ずさみて、口おほひしたまへるさま、いみじうされてうつくし。

 

】 傍線部は「潮満てば入りぬる磯の草なれや見らく少なく恋ふらくの多き(拾遺集、恋五)」の引き歌である。この説明として最も適当なものを選べ。

 

.紫の君は、源氏が自分よりも他の女に海のように深い愛情を持っていることに嫉妬した。

 

.紫の君は、磯の草のように、逢うことが少ないという不満の気持ちを訴えた。

 

.紫の君は、磯の草のように、消え行ってしまうような病状の重さを訴えた。

 

.紫の君は、磯のように、大きな心でなんとか言辞を迎えいれようとした。

 

.紫の君は、磯の潮の満ち引きのように、感情の起伏が激しいことを分かってもらおうとした。

 

 

「潮満てば入りぬる磯の草なれや見らく少なく恋ふらくの多き」という本歌は、

 

「潮が満ちると海に入ってしまう磯の草のように、あなたに逢う機会が少なく、恋い苦しむことが多いことよ」という歌意です。

 

引き歌は、その歌意を念頭において、1フレーズのみを引用することで、自分の発言に深い含蓄をもたらすものです。

 

 

いとエモし。超訳 日本の美しい文学 (サンクチュアリ出版)

 

『源氏物語』では、引き歌を用いた発言が多く出てきますので、その歌意も含めた含蓄を十分に意識して、発言意図を解釈すべきです。

 

 

 

 

 

※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!

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