源氏物語イラスト訳【紅葉賀114】女君の心地 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【紅葉賀114】女君の心地

女君、ありつる花の露に濡れたる心地して、添ひ臥したまへるさま、うつくしうらうたげなり。

 

【これまでのあらすじ】

桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。

光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。四月になり、藤壺宮と御子が宮中に戻り、源氏と藤壺は罪悪感に苛まれながら時を過ごしています。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

女君ありつる露に濡れたる心地て、

訳)若紫の君は、さっきの花(撫子)露に濡れような感じて、

 

 

添ひ臥したまへさま

訳)物に寄りそって横になっていらっしゃる様子が、

 

 

うつくしうらうたげなり

訳)かわいらしく可憐である

 

【古文】

女君ありつる露に濡れたる心地て、添ひ臥したまへさまうつくしうらうたげなり

 

【訳】

若紫の君は、さっきの花(撫子)露に濡れような感じて、物に寄りそって横になっていらっしゃる様子が、かわいらしく可憐である

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【女君】…紫の君。若紫のこと

■【ありつる花】…先程手折った撫子の花

※【ありつる】…さっきの。先程の

■【の】…主格の格助詞

■【露(つゆ)】…露。消えやすいものとしてとらえることが多い

■【濡れ】…ラ行下二段動詞「濡る」連用形

■【たる】…完了の助動詞「たり」連体形

■【心地(ここち)】…心持ち。感じ

■【し】…サ変動詞「す」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【添ひ臥す】…物に寄り添って体を横たえる。横にな

■【たまへ】…たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)

■【る】…完了(存続)の助動詞「り」連体形

■【さま】…様子

■【うつくしう】…シク活用形容詞「うつくし」連用形ウ音便

※【うつくし】…かわいらしい

■【らうたげなり】…かわいらしい。可憐だ。いじらしい

 

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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

しどけなくうちふくだみたまへる鬢ぐき、あざれたる袿姿にて、笛をなつかしう吹きすさびつつ、のぞきたまへれば、女君、ありつる花の露に濡れたる心地して、添ひ臥したまへるさま、うつくしうらうたげなり。

 

】 傍線部の説明として最も適当なものを選べ。

 

.さっき見た花の露のように、涙が滴り落ちているる、紫の君の泣きはらしたようす。

 

.昔手折った花の枝葉が、朝露にしっとりと濡れていた時のような、紫の君の妖艶な雰囲気。

 

.昔見た桜の花が、まるで夜露で散ってしまうような、紫の君のはかないようす。

 

.藤壺宮に贈るために手折った撫子の花が、消えてしまうような、紫の君のはかない雰囲気。

 

.藤壺宮に贈るために手折った撫子の花が、妖艶な湿り気を帯びたような、紫の君の雰囲気。

 

 

【女君】は、若紫のことです。

 

 

これまで、若紫のことは、「若草」や「幼き人」、「姫君」などと表現されてきましたが、

 

ここで初めて、「女君」と、一人前の女性扱いの呼称がなされます。

キョロキョロキョロキョロキョロキョロ

 

『新潮日本古典集成』によると、

「源氏に対してやや怨みを含んだていの艶な姿態の形容である」と注釈がされています。

 

ちょっと、若紫、大人になったんでしょうかねぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 

※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!

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