源氏物語イラスト訳【紅葉賀103】中将の君 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【紅葉賀103】中将の君

中将の君、面の色変はる心地して、恐ろしうも、かたじけなくも、うれしくも、あはれにも、かたがた移ろふ心地して、涙落ちぬべし。

 

【これまでのあらすじ】

桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。

光源氏18歳冬。藤壺宮は離宮に下がり、光源氏との不義密通の御子を出産しました。四月になり、藤壺宮と御子が宮中に戻りました。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

中将の君面の色変はる心地

訳)源氏の中将、顔色が変っていく心持ちがし

 

 

恐ろしうかたじけなく

訳)恐ろしくもったいなく

 

 

うれしくあはれに

訳)嬉しくしみじみ気の毒に

 

 

かたがた移ろふ心地、涙落ちべし

訳)あれこれと揺れ動く心持ちがし、涙が落ちてしまいそうである

 

 

【古文】

中将の君面の色変はる心地恐ろしうかたじけなくうれしくあはれにかたがた移ろふ心地、涙落ちべし

 

【訳】

源氏の中将、顔色が変っていく心持ちがし恐ろしくもったいなく嬉しくしみじみ気の毒にあれこれと揺れ動く心持ちがし、涙が落ちてしまいそうである

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【中将の君】…源氏の中将。光源氏のこと

■【は】…取り立ての係助詞

■「面(つら)の色】…顔色

■【心地(ここち)】…心持ち。気持ち

■【し】…サ変動詞「す」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【恐ろしう】…シク活用形容詞「おそろし」連用形ウ音便

■【も】…列挙の係助詞

■【かたじけなう】…ク活用形容詞「かたじけなし」連用形ウ音便

※【かたじけなし】…もったいない。ありがたい

■【うれしく】…シク活用形容詞「うれし」連用形

■【あはれに】…ナリ活用形容動詞「あはれなり」連用形

■【かたがた】…あれこれと

■【移ろふ】…移り変わる

■【心地(ここち)】…心持ち。気持ち

■【し】…サ変動詞「す」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【落ち】…タ行上二段動詞「落つ」連用形

■【ぬ】…強意の助動詞「ぬ」終止形

■【べし】…推量の助動詞「べし」終止形

 

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【大学入試予想:マーク問題】

 

中将の君、面の色変はる心地して、恐ろしうも、かたじけなくも、うれしくも、あはれにも、かたがた移ろふ心地して、涙落ちべし。

 

】 傍線部「ぬ」と同じ用法のものを1つ選べ。

 

.風波やまば、なほ同じ所にあり。

 (土佐日記)

 

.などかもののたまは

 (大和物語)

 

3.涙落として、ほとびけり。(伊勢物語)

 

.四十に足らぬほどにて死むこそめやすかるべけれ。(徒然草)

 

.風も吹きぬべし』と騒げば、船に乗りむとす。

 (土佐日記)

 

 

【確述用法】は、大学入試頻出の文法事項です。

 

 

今回、「~ぬべし」とあることから、

強意の助動詞「ぬ」+スイカトメテの「べし」を併せた、確述用法の一部と捉えましょう。

 

完了の助動詞は、「べし」・「む」などの推量系統の助動詞と組み合わさって、【強意】の意味となります。

 

 

なお、理系の方や共通テストのみの受験生の方は、【強意】ではなく【完了】という意味で覚えておいても大丈夫です。

 

 

※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!

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