源氏物語イラスト訳【紅葉賀76】ゆゆしき
「今日はまたことにも見えたまふかな」
「ねびたまふままに、ゆゆしきまでなりまさりたまふ御ありさまかな」
と、人びとめできこゆるを、
【これまでのあらすじ】
桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。
光源氏18歳冬。朱雀院行幸で、源氏は美しい「青海波」の舞を披露し、昇進しました。藤壺宮が里下がりしたので、源氏は心乱れつつも、正月を過ぎて、挨拶に参ります。
源氏物語イラスト訳
「今日はまたことにも見えたまふかな」
訳)「今日はまた格別に見えなさるわ」
「ねびたまふままに、ゆゆしきまでなりまさりたまふ
訳)「ご成長なさるに従って、恐ろしいほど美しくだんだんおなりになっていらっしゃる
御ありさまかな」と、人びとめできこゆるを、
訳)ご様子だわ」と、女房たちがお賞賛申し上げるのを、
【古文】
「今日はまたことにも見えたまふかな」
「ねびたまふままに、ゆゆしきまでなりまさりたまふ御ありさまかな」
と、人びとめできこゆるを、
【訳】
「今日はまた格別に見えなさるわ」
「ご成長なさるに従って、恐ろしいほど美しくだんだんおなりになっていらっしゃるご様子だわ」
と、女房たちがお賞賛申し上げるのを、
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■【は】…取り立ての係助詞
■【また】…副詞
■【ことに】…ナリ活用形容動詞「ことなり」連用形
※【ことなり】…格別だ
■【も】…強意の係助詞
■【あまた】…多くの
■【も】…強意の係助詞
■【見え】…ヤ行下二段動詞「見ゆ」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(女房⇒光源氏)
■【かな】…詠嘆の終助詞
■【ねび】…バ行上二段動詞「ねぶ」連用形
※【ねぶ】…成長する
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(女房⇒光源氏)
■【ままに】…~にしたがって
■【ゆゆしき】…シク活用形容詞「ゆゆし」連体形
※【ゆゆし】…恐ろしいほど美しい
■【まで】…限度の副助詞
■【なりまさる】…ますます…となってゆく。しだいに…になる
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(女房⇒光源氏)
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【ありさま】…様子
■【かな】…詠嘆の終助詞
■【と】…引用の格助詞
■【人びと】…女房達
■【めで】…ダ行下二段動詞「めづ」連用形
※【めづ】…ほめる。賞賛する
■【きこゆる】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連体形
※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【を】…対象の格助詞
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【大学入試予想:マーク問題】
「今日はまたことにも見え①たまふかな」
「ねび②たまふままに、ゆゆしきまでなりまさりたまふ御ありさまかな」
と、人びとめで③きこゆるを、
【問】 傍線部①②③の敬意対象の組み合わせとして、最も適当なものを選べ。
1.①女房から光源氏への敬意
②女房から光源氏への敬意
③女房たちから光源氏への敬意
2.①女房から光源氏への敬意
②女房から光源氏への敬意
③作者から光源氏への敬意
3.①作者から光源氏への敬意
②作者から光源氏への敬意
③作者から光源氏への敬意
4.①女房から光源氏への敬意
②光源氏から女房への敬意
③女房から光源氏への敬意
5.①女房から光源氏への敬意
②女房から女房への敬意
③作者から女房への敬意
【敬語の敬意対象】は、⑴誰からの敬意か、⑵誰に対する敬意かを分けて考えましょう。
⑴誰からの敬意かについては、地の文か会話文かで機会的に見分けます。ただ、誰が話し手なのかは、かぎかっこの後を見て、文脈主語把握する必要がありますね。
⑵誰に対する敬意かは、敬語の種類で判別します。謙譲語は、客体(目的語・補語)に対する敬意なので、きちんと練習を積んでトレーニングしておく必要があります。
※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。
答え…【2】