源氏物語イラスト訳【紅葉賀12】つとめて | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【紅葉賀12】つとめて

つとめて、中将君、
「いかに御覧じけむ。世に知らぬ乱り心地ながらこそ。

 もの思ふに立ち舞ふべくもあらぬ身の袖うち振りし心知りきや…」

 

【これまでのあらすじ】

桐壺帝の第二皇子として生まれた光源氏でしたが、源氏姓を賜り、臣下に降ります。亡き母の面影を追い求め、恋に渇望した光源氏は、父帝の妃である藤壺宮と不義密通に及び、懐妊させてしまいます。

光源氏18歳冬。朱雀院行幸に先立ち、宮中で試楽が催され、光源氏は美しい「青海波」の舞を披露しました。藤壺宮は、密通のやましさの中、夢心地でその舞をご覧になりました。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

つとめて中将君、「いかに御覧じけむ

訳)翌朝源氏中将の君は、「どのようにご覧になっただろう か


 

 

世に知らぬ乱り心地ながらこそ

訳)たとえようもない困惑した気持ちのまま舞いましたので…。

 

 

もの思ふ立ち舞ふべくあら

訳)恋の物思いのために立って舞うこともでき ないわが身が、

 

 

うち振り知り…」

訳)振って舞っ気持ちは分かってもらえでしょう。…」

 

 

 

 

【古文】

つとめて中将君
いかに御覧じけむ世に知らぬ乱り心地ながらこそ

 もの思ふ立ち舞ふべくあらうち振り知り…」

 

【訳】

翌朝源氏中将の君は、

どのようにご覧になっただろう かたとえようもない困惑した気持ちのまま舞いましたので…。

 恋の物思いのために立って舞うこともでき ないわが身が、振って舞っ気持ちは分かってもらえでしょう…」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【つとめて】…翌朝

■【中将の君】…源氏中将の君。光源氏のこと

■【いかに】…どのように

■【御覧じ】…サ変動詞「御覧ず」連用形

※【御覧ず】…「見る」の尊敬語(光源氏⇒藤壺宮)

■【けむ】…過去推量の助動詞「けむ」連体形

■【世に知らず】…世の中でほかに例がない。比べるものがない

※【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形

■【乱り心地】…悩んで取り乱した気持ち

■【ながら】…~のまま継続の副助詞

■【こそ】…強意の係助詞(結び「舞へ」の省略)

■【もの思ふ】…恋の物思いをする

■【に】…原因の格助詞(順接の接続助詞)

■【立ち舞ふ】…立って舞う

■【べく】…可能の助動詞「べし」連用形

■【も】…強意の係助詞

■【あら】…ラ変動詞「あり」の未然形

■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形

■【身】…わが身。光源氏自身

■【の】…主格の格助詞

■【袖(そで)】…着物の袖

■【うち振る】…(袖を)振って舞う「うち」は接頭語

■【し】…過去の助動詞「き」連体形

■【心】…気持ち

■【知り】…ラ行四段動詞「知る」連用形

■【き】…過去の助動詞「き」終止形

■【や】…疑問の係助詞(文末用法)

 

重要古語一覧はこちら

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【大学入試予想:マーク問題】

 

つとめて、中将君、
「いかに御覧じけむ。世に知らぬ乱り心地ながらこそ。

 もの思ふに立ち舞ふべくもあらぬ身の

 袖うち振りし心知りきや

 あなかしこ」
とある御返り、目もあやなりし御さま、容貌に、見たまひ忍ばれずやありけむ、

「唐人の袖振ることは遠けれど

 立ち居につけてあはれとは見き

 大方には」
とあるを、限りなうめづらしう、「かやうの方さへ、たどたどしからず、ひとの朝廷まで思ほしやれる御后言葉の、かねても」と、ほほ笑まれて、持経のやうにひき広げて見ゐたまへり。

 

 

 

】 傍線部の和歌の説明として最も適当なものを選べ。

 

.源氏中将は、世になく美しい藤壺宮を見てしまったため、舞がうまく舞えなかった心中を、彼女に伝えたいと思っている。

 

.源氏中将は、藤壺宮への恋慕に苛まれながら舞を舞ったその心中を、彼女に察してほしいと思っている。

 

.源氏中将は、久々に垣間見た藤壺宮への思慕により、心乱れて舞を失敗してしまった言い訳をしたいと思っている。

 

.源氏中将は、藤壺宮と父帝との仲睦まじい様子を見て、心中穏やかでなかったことを彼女に知ってもらいたいと思っている。

 

.源氏中将は、藤壺宮だけを心に思って舞を舞ったが、それをちゃんと見てもらえたかどうか気にかかっている。

 

 

 

和歌解釈の問題】は、また、直前の状況や会話の他の内容などをふまえて、この和歌を発した人物の心情に焦点を当ててみましょう!

 

 

※【答え】は最後にあります。ぜひやってみてね!

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