源氏物語イラスト訳【末摘花245】わが御影 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【末摘花245】わが御影

わが御影の鏡台に映れるが、いときよらなるを見たまひて、手づからこの赤鼻を描きつけ、にほはして見たまふに、かくよき顔だに、さてまじれらむは見苦しかるべかりけり。

 

【これまでのあらすじ】

故常陸宮の姫君(末摘花)と逢瀬を迎えた光源氏。返歌もできない教養のなさや、雪明かりの朝に見た彼女の容貌に驚き、幻滅します。しかし、縁があって逢瀬を迎えたのだから、一生彼女の面倒をみようと心に決めます。光源氏19歳正月、末摘花邸に通った翌朝、若紫とお絵かきをして遊びながら、彼女の赤鼻を思い出しています。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

わが鏡台映れいときよらなる見たまひ

訳)自分の姿鏡台映っているのがとても美しいのを御覧になっ

 

 

手づからこの赤鼻描きつけにほはし見たまふ

訳)自分の手でこの赤い鼻色づけし赤く染め御覧になる

 

 

かくよきだにさてまじれ見苦しかるべかりけり

訳)このように美しいでさえそういう状態で赤鼻がまざっているようなのは見苦しいにちがいないのであっ

 

 

 

【古文】

わが鏡台映れいときよらなる見たまひ手づからこの赤鼻描きつけにほはし見たまふかくよきだにさてまじれ見苦しかるべかりけり

 

【訳】

自分の姿鏡台映っているのがとても美しいのを御覧になっ自分の手でこの赤い鼻色づけし赤く染め御覧になるこのように美しいでさえそういう状態で赤鼻がまざっているようなのは見苦しいにちがいないのであっ

 

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■【わが】…自分の

■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)

■【影(かげ)】…姿

■【の】…同格の格助詞

■【鏡台(かがみだい)】…鏡を懸架するための台

■【に】…変化の結果の格助詞

■【映(うつ)れ】…ラ行四段動詞「映る」已然形

■【る】…存続の助動詞「り」連体形

■【が】…主格の格助詞

■【いと】…とても

■【きよらなる】…ナリ活用形容動詞「きよらなり」連体形

※【きよらなり】…清らかで美しい

■【を】…対象の格助詞

■【見たまふ】…ご覧になる

※【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【て】…単純接続の接続助詞

■【手づから】…自分の手で

■【を】…対象の格助詞

■【描きつけ】…カ行下二段動詞「描き付く」連用形

■【にほはす】…赤く染める。美しく染める

■【て】…単純接続の接続助詞

■【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形

■【たまふ】…赤色

■【を】…対象の格助詞

■【つけ】…カ行下二段動詞「付く」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形

■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【に】…順接の接続助詞

■【かく】…このように

■【よき】…ク活用形容詞「良し」連体形

※【良し】…美しい。すばらしい

■【だに】…類推の副助詞

■【さて】…そういう状態で。そうして

■【まじれ】…ラ行四段動詞「交じる」已然形

※【交じる】…まざる。入り混じる

■【ら】…完了(存続)の助動詞「り」未然形

■【む】…婉曲の助動詞「む」連体形

■【は】…取り立ての係助詞

■【見苦しかる】…シク活用形容詞「見苦し」連体形

■【べかり】…推量の助動詞「べし」連用形

■【けり】…過去の助動詞「けり」終止形

 

重要古語一覧はこちら

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【本日の源氏物語】

 

末摘花を思い出しながら、若紫とお絵描きを楽しんでいる光源氏――。

 

自分の鏡に映った美しい顔を見て、ちょっと赤く色づけしてみます。

 

――こんな美しい顔でさえも、赤く色づけたら見苦しいことだ、……って、源氏自身の心情描写でしょうか?

 

『源氏物語』では、時々、作者紫式部の説明が入るのですが(これを「草子地」といいます)、

 

今回は、光源氏が自分の顔を自画自賛してる雰囲気でイラスト訳にしてみました。

昔の高貴な人々は、こんな価値観もあるよ~って感じ;;

 

滝汗滝汗滝汗

 

 

影(かげ)」は重要古語で、「①光・②姿」という意味です。「月」などの光りかがやくものとセットで用いるときは「①光」の意味となり、今回のように、人の顔などに用いるときは「②姿」の意となります。

 

『源氏物語』でもよく出てくる古語なので、イラスト訳動画などでも確認しておきましょう。

 

照れ照れ照れ

 

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