源氏物語イラスト訳【末摘花201】ニヤつく命婦☆ | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【末摘花201】ニヤつく命婦☆

「あやしきことのはべるを、聞こえさせざらむもひがひがしう、思ひたまへわづらひて」
と、ほほ笑みて聞こえやらぬを、
「何ざまのことぞ。我にはつつむことあらじと、なむ思ふ」とのたまへば、

 

【これまでのあらすじ】

故常陸宮の姫君(末摘花)と逢瀬を迎えた光源氏。返歌もできない教養のなさや、雪明かりの朝に見た、彼女の容貌に驚き、幻滅が隠せません。しかし、縁があって逢瀬を迎えたのだから、一生彼女の面倒をみようと心に決めます。

 

 

源氏物語イラスト訳 

 

 

あやしきことはべる聞こえさせざらひがひがしう

訳)妙なございます申し上げないとしたらそれひねくれているようで

 

 

思ひたまへわづらひほほ笑み聞こえやら

訳)思い悩み申し上げ ……」微笑んすっかり申し上げたりしない

 

 

何ざまこと

訳)どのよう

 

 

つつむことあらなむ思ふのたまへ

訳)わたしつつみ隠すことはあるまい思うが」おっしゃる

 

【古文】

あやしきことはべる聞こえさせざらひがひがしう思ひたまへわづらひ
ほほ笑み聞こえやら
何ざまことつつむことあらなむ思ふのたまへ

 

【訳】

妙なございます申し上げないとしたらそれひねくれているようで思い悩み申し上げ ……」

微笑んすっかり申し上げたりしない

どのようわたしつつみ隠すことはあるまい思うが」おっしゃる

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【あやしき】…シク活用形容詞「あやし」連体形

■【の】…主格の格助詞

■【はべる】…ラ変動詞「はべり」連体形

※【はべり】…「あり」の丁寧語(命婦⇒光源氏)

■【を】…逆接の接続助詞

■【聞こえさせ】…サ行下二段動詞「聞こえさす」未然形

※【聞こえさす】…「言ふ」の謙譲語(命婦⇒光源氏)

■【ざら】…打消の助動詞「ず」未然形

■【む】…仮定の助動詞「む」連体形

■【も】…強意の係助詞

■【ひがひがしう】…シク活用形容詞「ひがひがし」連用形ウ音便

※【ひがひがし】…ひねくれている

■【思ひたまへわづらふ】…思い悩み申し上げる

※【思ひ】…ハ行四段動詞「思ふ」連用形

※【たまへ】…ハ行下二段動詞「たまふ」連用形

※【たまふ】…謙譲の補助動詞(命婦⇒光源氏)

※【思ひわづらふ】…思い悩む

■【て】…単純接続の接続助詞

■【と】…引用の格助詞

■【ほほ笑み】…マ行四段動詞「ほほゑむ」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【聞こえやら】…ラ行四段動詞「聞こえやる」未然形

※【聞こえやる】…すっかり申し上げる

※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒光源氏)

※【―やる】…すっかり~する。最後まで~する

■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形

■【を】…対象の格助詞

■【何ざま】…どのよう

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【ぞ】…強意の係助詞(疑問詞を伴い「~か」と問いただす)

■【我】…わたし(源氏の自称)

■【に】…対象の格助詞

■【は】…取り立ての係助詞

■【つつむ】…つつみ隠す

■【あら】…ラ変動詞「あり」未然形

■【じ】…打消推量の助動詞「じ」終止形

■【と】…引用の格助詞

■【なむ】…強意の係助詞(結び;「思ふ」)

■【思ふ】…ハ行四段動詞「思ふ」連体形

■【と】…引用の格助詞

■【のたまへ】…ハ行四段動詞「のたまふ」已然形

※【のたまふ】…「言ふ」の尊敬語(作者⇒光源氏)

■【ば】…順接確定条件の接続助詞

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

【本日の源氏物語】

 

大輔命婦(たいふのみょうぶ)が、わざわざ光源氏の宿直所まで出向いて、話をします。

 

 

「ほほ笑み」とありますが、命婦がニヤついて、源氏に何か言おうとしているのですね。

 

「あやし」は、文脈で漢字を浮かべる多義語です。

 

 

ここでは、どんな「あやしきこと」を思い浮かべているのでしょうか?

 

滝汗滝汗滝汗

 

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