源氏物語イラスト訳【末摘花57】小癪
この君のかう気色ばみありきたまふを、「まさに、さては、過ぐしたまひてむや」と、なまねたう危ふがりけり。
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【源氏物語イラスト訳】
この君のかう気色ばみありきたまふを、
訳)源氏の君がこのように想いが外に漏れるくらい歩き回っていらっしゃるのを、
「まさに、さては、過ぐしたまひてむや」
訳)「どうして、あのままでは、終わらせなさる だろうか、いや 決して そんなことはない」
と、なまねたう危ふがりけり。
訳)と、なんとなく小癪で気がかりに思うのであった。
【古文】
この君のかう気色ばみありきたまふを、「まさに、さては、過ぐしたまひてむや」と、なまねたう危ふがりけり。
【訳】
源氏の君がこのように想いが外に漏れるくらい歩き回っていらっしゃるのを、「どうして、あのままでは、終わらせなさる だろうか、いや 決して そんなことはない」と、なんとなく小癪で気がかりに思うのであった。
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■【この君】…源氏の君のこと
■【の】…主格の格助詞
■【かう】…このように(「かく」のウ音便)
■【気色(けしき)ばみ】…マ行四段動詞「けしきばむ」連用形
※【気色ばむ】…想いが外に表れる
■【ありき】…カ行四段動詞「ありく」連用形
※【ありく】…歩き回る
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【を】…対象の格助詞
■【まさに~や】…どうして~か、いや~ない
※【まさに】…副詞
※【や】…反語の係助詞
■【さては】…あの状態のままでは
■【過ぐし】…サ行四段動詞「過ぐす」連用形
※【すぐす】…やり過ごす。終わらせる
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(頭中将⇒光源氏)
■【て】…強意の助動詞「つ」未然形
■【む】…推量の助動詞「む」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【なま―】…なんとなく~(接頭語)
■【ねたう】…ク活用形容詞「ねたし」連用形ウ音便
※【ねたし】…くやしい。しゃくだ。小癪だ
■【危(あや)ふがる】…気がかりに思う。あぶないと思う
■【けり】…過去の助動詞「けり」終止形
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光源氏のことを心配する頭中将…ですが、
「なまねたう(小癪だ)」という表現がありますね!
これは、やはり、ライバルとして「見過ごせない」ぐらいの意味にとるほうがいいのではないでしょうか?
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
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