源氏物語イラスト訳【末摘花33】皮肉 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【末摘花33】皮肉

「主上の、まめにおはしますと、もてなやみきこえさせたまふこそ、をかしう思うたまへらるる折々はべれ。かやうの御やつれ姿を、いかでかは御覧じつけむ」

と聞こゆれば、

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おねがい

【源氏物語イラスト訳】

 

 

主上まめにおはしますと、もてなやみきこえさせたまふこそ

訳)き真面目でいらっしゃると、お悩み申し上げなさるのが

 

 

をかしう思うたまへらるる折々はべれ

訳)おかしく存じずにいられませ折々ございます

 

 

かやうやつれ姿いかでかは御覧じつけ聞こゆれ

訳)このような忍び姿どうして 目におとめになりましょう か、いや決して目に入らないでしょう申し上げる

 

 

【古文】

主上まめにおはしますと、もてなやみきこえさせたまふこそをかしう思うたまへらるる折々はべれかやうやつれ姿いかでかは御覧じつけ聞こゆれ

 

【訳】

き真面目でいらっしゃると、お悩み申し上げなさるのが、おかしく存じずにいられませ折々ございますこのような忍び姿どうして 目におとめになりましょう か、いや決して目に入らないでしょう申し上げる

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【主上(うへ)】…

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【まめに】…ナリ活用形容動詞「まめなり」連用形

※【まめなり】…真面目だ

■【おはします】…尊敬の補助動詞(大輔命婦⇒光源氏)

■【と】…引用の格助詞

■【もてなやむ】…処置に困る。もてあます

■【きこえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形

※【きこゆ】…謙譲語の補助動詞(大輔命婦⇒光源氏)

■【させ】…尊敬の助動詞「さす」連用形

■【たまふ】…尊敬の補助動詞(大輔命婦⇒帝)

■【こそ】…強意の係助詞(結び:はべれ)

■【をかしう】…シク活用形容詞「をかし」連用形ウ音便

※【をかし】…おかしい。面白い

■【思う】…ハ行四段動詞「思ふ」連用形(思ひ)のウ音便

■【たまへ】…ハ行下二段動詞「たまふ」連用形

※【たまふ】…謙譲の補助動詞(大輔命婦⇒光源氏)

■【らるる】…自発の助動詞「らる」連体形

【折々(をりをり)】…時々。おりおり

■【はべれ】…「あり」の丁寧語(大輔命婦⇒光源氏)

■【かやうの】…このような

※【かやう】…ナリ活用形容動詞「かやうなり」語幹

※【の】…連体修飾格の格助詞

■【御―】…尊敬の接頭語(大輔命婦⇒光源氏)

■【やつれ姿】…お忍び姿

※【やつる】…目立たないようにする

■【を】…対象の格助詞

■【いかで】…どうして~か(いや~ない)

■【かは】…反語の係助詞

■【御覧じつけ】…カ行下二段動詞「御覧じつく」連用形

※【御覧じつく】…お見つけになる。目にとまりなさる

■【む】…推量の助動詞「む」連体形

■【と】…引用の格助詞

■【聞こゆれ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形

※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒光源氏)

■【ば】…順接確定条件の接続助詞

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

☆本日の『源氏物語』☆

 

「主上」というのは、光源氏の父「桐壺帝」のことです。

 

 

大輔命婦は、こんなふうにいろんな女性に手を出そうと、身をやつしてお忍び歩きする光源氏に対して、

「帝はあなたのことを真面目だと思って心配してるのに…」

と、皮肉を言ってるんですね。

 

ちなみに、大輔命婦は、後宮の女官です。

帝のお手つきの可能性も……。

 

でも、こうして光源氏の命令にしたがって、宮中を抜け出したりしてるのは、たんに乳母子(めのとご)だから、…というだけではないような気もしますよね。

 

笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 


 

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