源氏イラスト訳【若紫402】「若紫」完
女など、はた、かばかりになれば、心やすくうちふるまひ、隔てなきさまに、臥し起きなどは、えしもすまじきを、これは、いとさまかはりたる、かしづきぐさなりと、思いためり。
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【源氏物語イラスト訳】
女など、はた、かばかりになれば、
訳)自分の娘などでも、はたまた、これほどの年になると、
心やすくうちふるまひ、隔てなきさまに、
訳)気安く振る舞い、心のわだかまりがない状態で、
臥し起きなどは、えしもすまじきを、
訳)寝起きなどは、とても することができそうにないけれど、
これは、いとさまかはりたる、かしづきぐさなりと、思いためり。
訳)この子は、とても風変わりな、大切な娘であると、お思いになっているようだ。
【古文】
女など、はた、かばかりになれば、心やすくうちふるまひ、隔てなきさまに、臥し起きなどは、えしもすまじきを、これは、いとさまかはりたる、かしづきぐさなりと、思いためり。
【訳】
自分の娘などでも、はたまた、これほどの年になると、気安く振る舞い、心のわだかまりがない状態で、寝起きなどは、とても することができそうにないけれど、この子は、とても風変わりな、大切な娘であると、お思いになっているようだ。
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■【女(むすめ)】…自分の娘
■【など】…例示の副助詞
■【はた】…はたまた
■【かばかり】…これほど
※【ばかり】…程度の副助詞
■【に】…変化の結果の格助詞
■【なれ】…ラ行四段動詞「なる」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【心やすく】…ク活用形容詞「心安し」連用形
※【心安し】…安心する。気安い
■【うちふるまひ】…ハ行四段動詞「うちふるまふ」連用形
※【うち―】…語調をととのえる接頭語
■【隔(へだ)て】…心のわだかまり
■【なき】…ク活用形容詞「無し」連体形
■【さま】…状態。様子
■【に】…状態を示す格助詞
■【起き臥(ふ)し】…寝起き
■【など】…例示の副助詞
■【は】…取り立ての係助詞
■【え~(打消)】…陳述の副詞〈可能〉
■【し】…強意の副助詞
■【も】…強意の係助詞
■【す】…サ変動詞「す」終止形
■【まじき】…打消推量の助動詞「まじ」連体形
■【を】…逆接の接続助詞
■【これ】…ここでは、若紫をさす
■【は】…取り立ての係助詞
■【いと】…とても
■【さまかはり】…ラ行四段動詞「さま変はる」連用形
※【さま変はる】…風変わりだ
■【たる】…完了(存続)の助動詞「たり」連体形
■【かしづきぐさ】…大切な娘
※【かしづき】…大切に世話をすること。手厚い保護を加えること
※【―ぐさ】…動作の素材や対象を表す接尾語
■【なり】…断定の助動詞「なり」終止形
■【と】…引用の格助詞
■【思い】…サ行四段動詞「思す」連用形イ音便
※【思す】…「思ふ」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【た】…完了(存続)の助動詞「tらい」連体形撥音便無表記
■【めり】…推定の助動詞「めり」終止形
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「女」は、「むすめ」と読みます。
自分の娘であっても、
これほど心を許して、打ち解けたりしないだろうに、
この若紫は、「様変はり」たる「かしづきぐさ」だ、というわけですね。
さあ、ここまでが、第五帖「若紫」の巻でした。
次回から、第六帖「末摘花」が始まります。
「末摘花」とは、紅花のことです。
もちろん、ある女性の呼び名に使われます。
鼻の頭が赤らんでいたから、「末摘花」なんですって!
いったい、どんな女性なのでしょうか?