源氏イラスト訳【若紫395】行方 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏イラスト訳【若紫395】行方

「もし、聞き出でたてまつらば、告げよ」とのたまふも、わづらはしく。僧都の御もとにも、尋ねきこえたまへど、あとはかなくて、あたらしかりし御容貌など、恋しく悲しと思す。

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日々の古文速読トレーニングにお役立てください。

おねがい

【源氏物語イラスト訳】

 

もし聞き出でたてまつら告げよ

訳)もし、消息をお聞き出し申し上げならば知らせなさい

 

 

のたまふわづらはしく

訳)おっしゃる言葉厄介で

 

 

僧都もとも、尋ねきこえたまへあとはかなく

訳)僧都も、尋ね申し上げなさるけれど行方がわからなく

 

 

あたらしかり容貌など恋しく悲し思す

訳)惜しいほどであっ若紫のご容貌など恋しく悲しいお思いになる

 

 

【古文】

もし聞き出でたてまつら告げよのたまふわづらはしく僧都もとも、尋ねきこえたまへあとはかなくあたらしかり容貌など恋しく悲し思す

 

【訳】

もし、消息をお聞き出し申し上げならば知らせなさいおっしゃる言葉厄介で僧都も、尋ね申し上げなさるけれど行方がわからなく惜しいほどであっ若紫のご容貌など恋しく悲しいお思いになる

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【もし】…もしも~ならば

■【聞き出で】…ダ行下二段動詞「聞き出づ」連用形

※【聞き出づ】…聞き出す

■【たてまつり】…ラ行四段動詞「たてまつる」連用形

※【たてまつる】…謙譲の補助動詞(兵部卿宮⇒若紫)

■【ば】…順接仮定条件の接続助詞

■【告げよ】…ガ行下二段動詞「告ぐ」命令形

■【と】…引用の格助詞

■【のたまふ】…「言ふ」の尊敬語(女房⇒兵部郷宮)

■【も】…添加の係助詞

【わづらはしく】…シク活用形容詞「わづらはし」連用形

※【わづらはし】…厄介だ

■【僧都(そうづ)】…若紫の曾祖父。故尼君の兄

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒僧都)

■【もと】…(人のいる)所

■【に】…場所の格助詞

■【も】…添加の係助詞

■【尋ね】…ナ行下二段動詞「尋ぬ」連用形

■【きこえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形

※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒若紫)

■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒兵部郷宮)

■【ど】…逆接の接続助詞

■【あとはかなく】…ク活用形容詞「あとはかなし」連用形

※【あとはかなし】…行方が分からない

■【て】…単純接続の接続助詞

■【あたらしかり】…シク活用形容詞「あたらし」連用形

■【し】…過去の助動詞「き」連体形

■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒若紫)

■【容貌(かたち)】…容貌。顔かたち

■【など】…例示の副助詞

■【恋しく】…シク活用形容詞「恋し」連用形

■【悲し】…悲しい

■【と】…引用の格助詞

■【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬語(作者⇒兵部郷宮)

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

☆本日の『源氏物語』☆

 

若紫の父、兵部卿宮は、

娘がいなくなり、僧都の所にまで尋ねたみたいですね!

 

 

今回は、二方面敬語が出て来ています。

 

二方面敬語は、主体と客体の両方に敬意を払う敬語です。

 

 

主語であるのは兵部卿宮で、

誰に対して行為を行うのかを、俯瞰的にみて考えてください。

 

敬意対象については、

下の■のところに、( ⇒ )として、

誰から誰に対する敬意かを書いておきました。

 

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