源氏イラスト訳【若紫390】故尼 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏イラスト訳【若紫390】故尼

故尼君のにぞ似たりける。「今めかしき手本、習はば、いとよう書いたまひてむ」と見たまふ。

雛など、わざと屋ども作り続けて、もろともに遊びつつ、こよなきもの思ひの紛らはしなり。

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おねがい

 

 

【源氏物語イラスト訳】

 

尼君たりける

訳)亡くなった尼君の筆跡ているのであっ

 

 

今めかしき手本習はいとよう書いたまひたまふ

訳)当世風の手本習っならばきっと とても良く書きなさる だろうご覧になる

 

 

などわざとども作り続けもろともに遊びつつ

訳)雛人形なども、特別にお家いくつも造り並べ一緒に遊んでは

 

 

こよなきもの思ひ紛らはしなり

訳)この上ない物思い気晴らしである

 

 

【古文】

尼君たりける。「今めかしき手本習はいとよう書いたまひたまふ

などわざとども作り続けもろともに遊びつつこよなきもの思ひ紛らはしなり

 

【訳】

亡くなった尼君の筆跡ているのであっ。「当世風の手本習っならばきっと とても良く書きなさる だろうご覧になる

雛人形なども、特別にお家いくつも造り並べ一緒に遊んではこの上ない物思い気晴らしである

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【故(こ)―】…亡くなった~

■【尼君】…若紫の祖母

■【の】…体言の代用の格助詞

■【に】…変化の結果の格助詞

■【ぞ】…強意の係助詞(結び:「ける」)

■【似】…ナ行上一段動詞「似る」連用形

■【たり】…存続の助動詞「たり」連用形

■【ける】…過去の助動詞「けり」連体形

【今めかしき】…シク活用形容詞「今めかし」連体形

※【いまめかし】…今風だ。当世風だ

■【手本】…書の見本

■【習は】…ハ行四段動詞「習(なら)ふ」の未然形

■【ば】…順接仮定条件の接続助詞

■【いと】…とても

■【よう】…ク活用形容詞「良し」連用形ウ音便

■【書い】…カ行四段動詞「書く」連用形イ音便

■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(光源氏⇒若紫)

■【て】…強意の助動詞「つ」未然形

■【む】…推量の助動詞「む」終止形

■【と】…引用の格助詞

■【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形

■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【雛(ひひな)】…紙などで作った小さな人形。特に、後世では、ひな祭りの人形をさす。ひな人形。

■【など】…例示の副助詞

■【わざと】…特別に

■【屋(や)】…人形遊びのお家

■【―ども】…複数の接尾語

■【作り続け】…カ行下二段動詞「作り続く」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【もろともに】…一緒に

■【遊び】…バ行四段動詞「遊ぶ」連用形

■【つつ】…継続の接続助詞

■【こよなき】…ク活用形容詞「こよなし」連体形

※【こよなし】…この上ない

■【もの思ひ】…物思い。思い悩むこと。ここでは藤壺宮に逢えない不満をさす

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【紛(まぎ)らはし】…気晴らし。憂さ晴らし

■【なり】…断定の助動詞「なり」終止形

 

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☆本日の『源氏物語』☆

 

故尼君とは、先日亡くなった若紫の祖母です。

 

 

若紫をずっと育ててくれていたので、

もちろん文字も教えていたのでしょう。

 

光源氏が、以前故尼君ととり交わした文(手紙)の筆跡と

非常によく似ていたようですね。

 

ただし、光源氏の目からすると、

ちょっと古風に思えたのでしょう。

 

「今めかしき手本を習はば…」と、若紫の将来、理想の女性に仕立てたいという願望が見てとれますね!

 

びっくり

 

 


 

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