源氏イラスト訳【若紫342】謙譲
参りたれば、召し寄せて、ありさま問ひたまふ。しかしかなど聞こゆれば、口惜しう思して、
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【源氏物語イラスト訳】
参りたれば、召し寄せて、ありさま問ひたまふ。
訳)参上したので、お呼び寄せになって、状況を尋ねなさる。
しかしかなど聞こゆれば、
訳)「かくかくしかじかです」などと申し上げるので、
口惜しう思して、
訳)残念にお思いになって、
【古文】
参りたれば、召し寄せて、ありさま問ひたまふ。しかしかなど聞こゆれば、口惜しう思して、
【訳】
参上したので、お呼び寄せになって、状況を尋ねなさる。「かくかくしかじかです」などと申し上げるので、残念にお思いになって、
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■【参り】…ラ行四段動詞「参る」連用形
※【参る】…「来」の謙譲語(作者⇒光源氏)
■【たれ】…完了の助動詞「たり」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【召し寄せ】…サ行下二段動詞「召し寄す」連用形
※【召す(めす)】…「呼ぶ」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【ありさま】…様子。状況
■【問ひ】…ハ行四段動詞「問ふ」連用形
■【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【しかしか】…こうこう。かくかくしかじか(指示副詞)
■【など】…引用の副助詞
■【聞こゆれ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」已然形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒光源氏)
■【ば】…順接確定条件(原因・理由)の接続助詞
■【口惜しう】…シク活用形容詞「口惜し」連用形ウ音便
※【口惜し】…残念だ
■【思(おぼ)し】…サ行四段動詞「思す」連用形
※【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
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光源氏は、妻葵上のいる左大臣邸にいましたよね。
そこで、いきなり「参りたれば」と主語なく書かれます。
内容だけを捉えるならば、
葵上が、光源氏の歌を聴いて、思い直して、
光源氏の元に来たのかな、と思ってしまいますが、
「参りたれば」には、尊敬語がありませんよね!
ここで、誰が光源氏の元へ参ったのかが
確定されていくわけです。