源氏イラスト訳【若紫310】糾弾 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏イラスト訳【若紫310】糾弾

よしある下仕へを出だして、

「立ちとまり霧のまがきの過ぎうくは草のとざしにさはりしもせじ」と言ひかけて、入りぬ。

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おねがい

【源氏物語イラスト訳】

 

よしある下仕へ出だし

訳)奥ゆかしい趣ある下仕え人出し

 

 

立ちとまりまがき過ぎうく

訳)立ち止まりながら、霧の立ちこめた家の前通り過ぎるのがつらいならば

 

 

とざしさはりしも

訳)生い茂った草門を閉ざしてもさし障りないでしょう

 

 

言ひかけ入り

訳)詠みかけ入ってしまった

 

【古文】

よしある下仕へ出だし

立ちとまりまがき過ぎうく

  とざしさはりしも言ひかけ入り

 

【訳】

奥ゆかしい趣ある下仕え人出し

立ち止まりながら、霧の立ちこめた家の前通り過ぎるのがつらいならば
 生い茂った草門を閉ざしてもさし障りないでしょう

詠みかけ入ってしまった

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【よしあり】…奥ゆかしい趣がある

■【下仕(しもづか)へ】…下仕え人。雑用に従事する女

■【を】…対象の格助詞

■【出(い)だし】…サ行四段動詞「出だす」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【立ち止まり】…ラ行四段動詞「立ち止まる」連用形

■【の】…連体修飾格の格助詞

■【まがき】…竹や柴などで編んだ垣根

■【の】…主格の格助詞

■【過ぎ】…ガ行上二段動詞「過ぐ」連用形

■【―うくは】…~するのがつらいならば

※【憂(う)し】…~するのがつらい。~するのがいやだ

※【連用形+は】…順接仮定条件の係助詞

■【草のとざし】…自邸が草に覆われているという謙譲表現

■【に】…対象の格助詞

■【さはり(障り)】…差し障り。障害

■【し】…強意の副助詞

■【も】…強意の係助詞

■【せ】…サ変動詞「す」未然形

■【じ】…打消推量の助動詞「じ」終止形

■【と】…引用の格助詞

■【言ひかけ】…カ行下二段動詞「言ひかく」連用形

※【言ひかく】…詠みかける

■【て】…単純接続の接続助詞

■【入(い)り】…ラ行四段動詞「入る」連用形

■【ぬ】…完了の助動詞「ぬ」終止形

 

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☆本日の『源氏物語』☆

 

後撰和歌集に、

「女のもとにまかりたりけるに、門をさして開けざりければ、まかり帰りて朝につかはしける。

 

 秋の夜の草のとざしのわびしきは

 明くれどあけぬものにぞありける」

という兼輔朝臣の返歌として、

 

「言ふからにつらさぞまさる秋の夜の

 草のとざしにさはるべしやは」

(言い訳めいた歌を詠まれるyと、余計につらさがまさります。

 秋の夜の草の戸がどうして障害になるでしょうか、いや入る気があれば入れますでしょう)

 

という歌が、引き歌となっています。

 

 

長いこと来てくれなかった光源氏。

そして、こんな明け方に訪れるとは、

誰かほかの恋人のもとへ通った帰り道に違いない――。

 

 

そんな光源氏の薄情さに対して、

六条御息所は、「よしある女」に和歌を詠ませて

糾弾しているのですね。

 


 

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