源氏イラスト訳【若紫281】こち
「宮にはあらねど、また思し放つべうもあらず。こち」
とのたまふを、恥づかしかりし人と、さすがに聞きなして、
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【源氏物語イラスト訳】
「宮にはあらねど、また思し放つべうもあらず
訳)「父宮さまではないけれど、私もまた 知らん顔なさる べき者でもない。
こち」とのたまふを、
訳)こちらへおいで」とおっしゃるので、
恥づかしかりし人と、さすがに聞きなして、
訳)あの素敵だと思ったお方だと、そう(子供心と)はいってもやはり聞いて分かって、
【古文】
「宮にはあらねど、また思し放つべうもあらず。こち」
とのたまふを、恥づかしかりし人と、さすがに聞きなして、
【訳】
「父宮さまではないけれど、私もまた 知らん顔なさる べき者でもない。こちらへおいで」
とおっしゃるので、あの素敵だと思ったお方だと、そう(子供心と)はいってもやはり聞いて分かって、
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■【宮(みや)】…父である兵部郷宮をさす
■【に】…断定の助動詞「なり」連用形
■【は】…取り立ての係助詞
■【あら】…ラ変動詞「あり」の未然形
■【ね】…打消の助動詞「ず」已然形
■【ど】…逆接確定条件の接続助詞
■【また】…私もまた、同じように
■【思(おぼ)し】…サ行四段動詞「おぼす」連用形
※【思(おぼ)す】…「思ふ」の尊敬(光源氏⇒若紫)
■【放つ】…放っておく。知らんぷりする
■【べう】…当然の助動詞「めき」連用形ウ音便
■【も】…強意の係助詞
■【あら】…ラ変動詞「あり」の未然形
■【ず】…打消の助動詞「ず」終止形
■【こち】…こちら
■【と】…引用の格助詞
■【のたまふ】…「言ふ」の尊敬語(作者⇒光源氏)
■【を】…順接の接続助詞
■【恥づかりかりし人】…あの立派であった人。光源氏をさす
※【恥づかしかり】…シク活用形容詞「恥づかし」連用形
※【恥づかし】…こちらが恥づかしくなるほど(相手が)素敵だ
※【し】…過去の助動詞「き」連体形
■【と】…引用の格助詞
■【さすがに】…そうはいってもやはり
■【聞きなし】…サ行四段動詞「聞きなす」連用形
※【聞きなす】…聞いてそれと分かる
■【て】…単純接続の接続助詞
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さあ、やっと、光源氏と、若紫とが接する場面。
「お父様かも…」と思って出てきた若紫に対し、
光源氏が、若紫に、初めて声をかけました。
すると、若紫は、幼心にも
この話し手が、あの「光さま」だと気づくわけですね。
さて、どうなることやら…