源氏物語イラスト訳【若紫198】いとど
「…いとどうしろめたう」
とあり。僧都の御返りも同じさまなれば、口惜しくて、二、三日ありて、惟光をぞたてまつれたまふ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
【源氏物語イラスト訳】
大学入試頻出の『源氏物語』も、
現代語訳とイラストとの組み合わせで読むことで、
ビジュアル的にイメージしながら速習できます。
「…いとどうしろめたう」とあり。
訳)「…ますます気がかりでございまして」と書いてある。
僧都の御返りも同じさまなれば、
訳)僧都のお返事も同じようであるので、
口惜しくて、
訳)残念に思って、
二、三日ありて、惟光をぞたてまつれたまふ。
訳)二、三日たって、惟光を参上させなさる。
【古文】
「…いとどうしろめたう」
とあり。僧都の御返りも同じさまなれば、口惜しくて、二、三日ありて、惟光をぞたてまつれたまふ。
【訳】
「…ますます気がかりでございまして」
と書いてある。僧都のお返事も同じようであるので、残念に思って、二、三日たって、惟光を参上させなさる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【いとど】…ますます。いっそう
■【うしろめたう】…ク活用形容詞「後ろめたし」連用形ウ音便
※【後ろめたし】…気がかりだ。心配だ
■【と】…引用の格助詞
■【あり】…ラ変動詞「あり」終止形
■【僧都(そうづ)】…若紫の曾祖父(尼君の兄)の高僧
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒僧都)
■【返り】…返事の手紙
■【も】…添加の係助詞
■【同じ】…シク活用形容詞「同じ」連体形(「同じき」の変化)
■【さま(様)】…ようす
■【なれ】…断定の助動詞「なり」の已然形
■【已然形+ば】…順接確定条件(原因)の接続助詞
■【口惜しく】…シク活用形容詞「口惜し」連用形
※【口惜し(くちをし)】…残念だ
■【て】…単純接続の接続助詞
■【あり】…ラ変動詞「あり」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【惟光(これみつ)】…光源氏の従者(乳母子)
■【を】…対象の格助詞
■【ぞ】…強意の係助詞
■【たてまつれ】…ラ行下二段動詞「奉る」連用形
※【奉(たてまつ)る】…「遣る」の謙譲(作者⇒尼君ら)
■【たまふ】…ハ行四段動詞「たまふ」連体形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
光源氏の熱望とは違い、
尼君(若紫の祖母)も、僧都(若紫の曾祖父)も、
返事はそっけないものだったようですね。